貴女だけが、私を愚かな男にした 〜硬派な彼の秘めた熱情〜

(あ……っ!)

 こんなにも、雄の本能を剥き出しにした明人を、初めて見た。

 息は上がり、眉根は寄せられ、しっとりと汗ばんで。

 常にひんやりしていると思っていた明人の瞳は、いまや獲物を前にした獣のようにぎらぎらと燃えたぎっている。

「……意地悪されるのは、嫌いですか」

 明人が保っている、最後の理性を感じた。

 ご馳走を前にした獣のような衝動に駆られながら、あくまで、詩乃の意思は無視すまいとしている。

 詩乃は呆気なく、自分自身の理性を手放した。

「……だいすき……っ」

 そのあと、詩乃がどれほど鳴かされたか、もはや分からない。

 明人は貪るように、それでいて丁寧に丁寧に愛撫を捧げ続けた。

「……詩乃さん」

 もう何度めか分からない絶頂の余韻にぼやぽやしている詩乃に、明人が荒い呼吸を抑えつつ呼びかける。

「なあに……?」

 もう、これ以上なにをされても構わない。

 明人は幸せしかもたらさない。

 肉体の悦びに震えながら、詩乃は甘えるように答えた。
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