ここまでコケにされたのだから、そろそろ反撃しても許されますわよね?
「ヘレナはアンドレア様の慈悲が通じて改心したのですよ」

 訳知り顔のマリーは、ヘレナがアンドレア側についた顛末を我がことのように得意げに説明した。

「そんなことが……その割にアンドレアの気分はよくないようね?」
「実は……」

 アンドレアはポールとライラの計画をぽつりぽつりと話し始めた。
 言いながら怒りで声が震えてしまう。

「ライラがもうすでに妊娠を……?」
「ええ」
「どうりでケラー家に帰ってこないはずだわ。エドガーがライラと会おうとしても、お義父様があれこれ理由をつけて会わせないようにしているって言っていたし……」

 沈黙が降りた室内は、八方塞がりの空気が満ちている。
 そんな中、エリーゼが静かに口開いた。

「ね、アンドレア。貴女はどうしたい? まだシュナイダー家での未来にしがみついていたい?」
「え?」

 言われた意味がうまく理解できなくて、アンドレアはエリーゼの顔を見た。
 穏やかな瞳には焦りも苛立ちもなく、ただ事実確認をしているかのようだった。

「アンドレアが伯父様のことが大好きだったのは知っているわ。だけど、シュナイダー家にはもう十分に義理立てできたのではなくて?」
「エリーゼは……シュナイダー家を見捨てろと言っているの?」
「だってそうでしょう? わたくしには、これ以上アンドレアが犠牲になる意味が分からないもの」

 静かに言って、エリーゼはアンドレアの手を取った。

「元シュナイダー公爵が今のアンドレアを見たらなんとおっしゃると思う? ポール様のためにこれからも犠牲になれと? あの方がそんなことおっしゃるかしら?」
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