お母さまは魔王さま! ~私が勇者をたおしてお母さまを守ります!~
***
アシュリンは魔法の鏡を使って勇者一行の前に躍り出た。
魔術師らしき男性に母に言われるみたいな注意をされてむかっとしたが、今はそれどころではない。まずは勇者に攻撃をしなければ。
「だとうゆうしゃ!」
アシュリンは駆け出すが、直後にべたっと転んだ。
「うう……いたい……」
「大丈夫ですか!?」
魔術師が駆け寄って来て、アシュリンは泣きそうな顔を向ける。
「あし、いたい。すりむいた……」
「あらら。痛いの痛いのとんでけー」
効きもしない伝統的なおまじないに続けて、魔術師は治癒の呪文を唱える。
一瞬で治ったので、アシュリンは顔を輝かせた。
「ありがとう!」
「どういたしまして」
にっこり笑顔を向けられてから、アシュリンはハッとする。
「て、てきながらあっぱれである!」
一生懸命に威厳を保とうと背を逸らしながらアシュリンは言う。
「でも、てかげんはしないんだから!」
アシュリンは腰の左側につけた小さな袋に手をつっこんだ。
「いでよ、まけん!」
叫びながら引っ張る。が、なかなか魔剣が出てこない。