悪役令嬢、藤堂椿による華麗にて波乱なる純情政略結婚の心得
第四話 男の純情
※ハンバーガーショップの店内で、
泣きながらハンバーガーを貪り食らう椿。
椿「うえっ、うっぐ、うえっ……
ありがとな、皇……うゔぁぁ」
愁夜「いや……あの……
別に泣くほどのことじゃ……
っていうか、どうした?
疲れてるのか?」
椿「前世で食べた、このチープな味が……
めちゃくちゃ懐かしくって……
いろんな思い出が走馬灯のように……だなぁ」
愁夜「うん、うん、そっか、そっか」
※愁夜、黙って椿の背中をさすってやる。
愁夜モノ:ヤバい、婚約の件で追い詰め過ぎたか?
愁夜「それで……あのさ、
もうすぐ学園からの宿泊学習が
予定されているわけなんだけど、
もし良かったら……自由行動日の日に……
一緒に回りま……せんか?」
※愁夜、死ぬほど緊張している。
椿「なんで敬語?」
※椿、目を瞬かせる。
愁夜「いやっ……だからっ!」
※愁夜、盛大に赤面し、テンパっている。
愁夜モノ:察しろよ! この女っ!!
この僕がどれだけ勇気を
振り絞ったのかをっ!!!
椿「……」
椿モノ:宿泊学習、鳳凰生にとって
それはつまり恋の一大イベントなのである。
毎年この宿泊学習で数多のカップルが成立し、
自由行動の日に行動をともにすることによって、
その関係を公にするというのが、
鳳凰学園での恒例となっているのである。
椿「え〜! お前、クラス違うじゃん」
※ぷちっという擬音後とともに
愁夜の額に怒りの青筋が立つ。
愁夜「いやっ! だからっ!!」
愁夜モノ:だから心配なんだろがっ!
僕の目の届かないところで、
他の男が君にっ……っていう展開がさっ!
できればなるべく早く
僕は君との関係を
公にしてしまいたいんですけどっ!!!
椿「一緒に回るっていうことはさ、
お前との関係を公にするってことだろ?
なんかそういうのって……どうなん?」
愁夜「どう……って?」
椿「なんか、お互いがお互いを、
見せびらかす道具みたいにしてさ」
愁夜「道具って……言い方」
椿「こういうのってさ、
周りがどうっていうより
本人たちがちゃんと心の中で思い合っていたら
それでいいんじゃないのかなって思うんだけど」
愁夜「つまり君は、僕との関係を公にはしたくないと、
つまりはそういうこと?」
椿「ギクッ」
※椿、不自然に視線を背ける。
※愁夜、小さくため息を吐いく。
愁夜「なんだか、君は
まるで僕から逃げる準備をしているみたいだね」
※愁夜、寂しげな眼差しでじっと椿を見つめる。
椿「べっ別に、そんなんじゃ……」
※椿、気まずそうに視線を漂わせる。
椿モノ:いや、そうなんだけど……。
ああ、もうっ! くそっ!
なんでそんな顔すんだよ!
俺とお前はただの政略結婚だろうがっ!
なのになんで、そんな傷ついたような、
悲しげな顔をするんだよ!
俺は……お前のそんな顔、見たくねぇよ!
※椿、下を向いてきつく拳を握りしめる。
愁夜「いいよ。君の心の準備ができるまで、
僕はちゃんと待つことにする」
※愁夜、寂しげに微笑む。
愁夜「な〜んか、本当は
公にできない日陰の愛人みたいで
嫌なんだけどね」
椿「ごめん」
愁夜「ちょっ、
そこで謝らないでくれる?」
※愁夜、苦笑する。
椿「いや、でも、俺っ!」
愁夜「いいよ。君がそう望むなら、
日陰の愛人にでも何にでもなってやる!」
椿「日陰の愛人て……その言い方、やめてくれない?
なんか俺の罪悪感が
すごいことになっちゃうんですけど」
愁夜「この僕に日陰の愛人を強いるのだから、
そこはしっかりと罪悪感に苛まされるといい。
そしてとっとと耐えきれなくなって、
僕達の関係を公にすればいいさ」
椿「お前は俺との関係を公にしたいのか?」
愁夜「そりゃ、まあ。
どうせなら正々堂々としていたいからね。
あとは害虫駆除的な要因も兼ねての牽制かな」
椿「じゃあ、なんで待ってくれたの?」
愁夜「君の気持ちを尊重したいと思ったから」
椿「お前ってさぁ、
……ひょっとして本当はけっこういい奴なのか?」
※椿、恐る恐る真顔で愁夜に尋ねる。
愁夜「……」
※愁夜、心拍数が上がり、ひどく赤面する。
愁夜「はっ、はあ? そんなわけないじゃん。
君は一体何を勘違いしているのかな?
僕は天下の皇愁夜だよ?
きっ……君は……そう、
一応皇のビジネスパートナーだから。
一応な! そっ……それだけの話しだ」
※椿、ほっとする。
椿「そっ……そうだよな!
お前がそんなしおらしい人間なわけないよな!
あ〜良かった〜、安心した〜」
※椿、心の憂さがすっかり晴れて清々した様子。
愁夜「ちょっ……なんでそこで安心すんの?」
※愁夜、真顔に戻る。
椿「あのさ、俺、今、ひょっとしたらお前に
めちゃくちゃ愛されてんじゃないのかなって、
一瞬、とんでもない誇大妄想を抱いちまってさ、
うぷぷっ! 我ながら笑えるー!」
※椿、半笑い。
愁夜「……」
※愁夜、複雑な表情。ちょっと涙目。
椿「えっ? お前、何泣いてんの?
そこ、笑うとこだろ!
爆笑ポイントだろ!
うぷぷっ!」
※大爆笑する椿を見て、愁夜下を向く。
愁夜モノ:あなたが……好きです。
死ぬほど……好きです。
好きすぎて……伝えられないんです。
そんな男の純情を笑ってはいけませんよ?
藤堂椿。
※愁夜、顔を上げて氷の微笑を浮かべる。
愁夜「あまりにもくだらなさ過ぎて、
僕はちょっと笑えないかな。
それよりも、今回の件を飲む代わりに、
君にもペナルティーを課すことにするよ。
でないと公平じゃないだろう?」
椿「ペンルティー……とは?」
愁夜「たとえ非公式であれ、
僕達は付き合っている。
それなら君にも誠意を見せてほしい」
椿「何をすればいいんだよ」
愁夜「僕にキスをしてほしい。もちろん唇に」
椿「はっはあ?」
※椿、盛大に赤面する。
泣きながらハンバーガーを貪り食らう椿。
椿「うえっ、うっぐ、うえっ……
ありがとな、皇……うゔぁぁ」
愁夜「いや……あの……
別に泣くほどのことじゃ……
っていうか、どうした?
疲れてるのか?」
椿「前世で食べた、このチープな味が……
めちゃくちゃ懐かしくって……
いろんな思い出が走馬灯のように……だなぁ」
愁夜「うん、うん、そっか、そっか」
※愁夜、黙って椿の背中をさすってやる。
愁夜モノ:ヤバい、婚約の件で追い詰め過ぎたか?
愁夜「それで……あのさ、
もうすぐ学園からの宿泊学習が
予定されているわけなんだけど、
もし良かったら……自由行動日の日に……
一緒に回りま……せんか?」
※愁夜、死ぬほど緊張している。
椿「なんで敬語?」
※椿、目を瞬かせる。
愁夜「いやっ……だからっ!」
※愁夜、盛大に赤面し、テンパっている。
愁夜モノ:察しろよ! この女っ!!
この僕がどれだけ勇気を
振り絞ったのかをっ!!!
椿「……」
椿モノ:宿泊学習、鳳凰生にとって
それはつまり恋の一大イベントなのである。
毎年この宿泊学習で数多のカップルが成立し、
自由行動の日に行動をともにすることによって、
その関係を公にするというのが、
鳳凰学園での恒例となっているのである。
椿「え〜! お前、クラス違うじゃん」
※ぷちっという擬音後とともに
愁夜の額に怒りの青筋が立つ。
愁夜「いやっ! だからっ!!」
愁夜モノ:だから心配なんだろがっ!
僕の目の届かないところで、
他の男が君にっ……っていう展開がさっ!
できればなるべく早く
僕は君との関係を
公にしてしまいたいんですけどっ!!!
椿「一緒に回るっていうことはさ、
お前との関係を公にするってことだろ?
なんかそういうのって……どうなん?」
愁夜「どう……って?」
椿「なんか、お互いがお互いを、
見せびらかす道具みたいにしてさ」
愁夜「道具って……言い方」
椿「こういうのってさ、
周りがどうっていうより
本人たちがちゃんと心の中で思い合っていたら
それでいいんじゃないのかなって思うんだけど」
愁夜「つまり君は、僕との関係を公にはしたくないと、
つまりはそういうこと?」
椿「ギクッ」
※椿、不自然に視線を背ける。
※愁夜、小さくため息を吐いく。
愁夜「なんだか、君は
まるで僕から逃げる準備をしているみたいだね」
※愁夜、寂しげな眼差しでじっと椿を見つめる。
椿「べっ別に、そんなんじゃ……」
※椿、気まずそうに視線を漂わせる。
椿モノ:いや、そうなんだけど……。
ああ、もうっ! くそっ!
なんでそんな顔すんだよ!
俺とお前はただの政略結婚だろうがっ!
なのになんで、そんな傷ついたような、
悲しげな顔をするんだよ!
俺は……お前のそんな顔、見たくねぇよ!
※椿、下を向いてきつく拳を握りしめる。
愁夜「いいよ。君の心の準備ができるまで、
僕はちゃんと待つことにする」
※愁夜、寂しげに微笑む。
愁夜「な〜んか、本当は
公にできない日陰の愛人みたいで
嫌なんだけどね」
椿「ごめん」
愁夜「ちょっ、
そこで謝らないでくれる?」
※愁夜、苦笑する。
椿「いや、でも、俺っ!」
愁夜「いいよ。君がそう望むなら、
日陰の愛人にでも何にでもなってやる!」
椿「日陰の愛人て……その言い方、やめてくれない?
なんか俺の罪悪感が
すごいことになっちゃうんですけど」
愁夜「この僕に日陰の愛人を強いるのだから、
そこはしっかりと罪悪感に苛まされるといい。
そしてとっとと耐えきれなくなって、
僕達の関係を公にすればいいさ」
椿「お前は俺との関係を公にしたいのか?」
愁夜「そりゃ、まあ。
どうせなら正々堂々としていたいからね。
あとは害虫駆除的な要因も兼ねての牽制かな」
椿「じゃあ、なんで待ってくれたの?」
愁夜「君の気持ちを尊重したいと思ったから」
椿「お前ってさぁ、
……ひょっとして本当はけっこういい奴なのか?」
※椿、恐る恐る真顔で愁夜に尋ねる。
愁夜「……」
※愁夜、心拍数が上がり、ひどく赤面する。
愁夜「はっ、はあ? そんなわけないじゃん。
君は一体何を勘違いしているのかな?
僕は天下の皇愁夜だよ?
きっ……君は……そう、
一応皇のビジネスパートナーだから。
一応な! そっ……それだけの話しだ」
※椿、ほっとする。
椿「そっ……そうだよな!
お前がそんなしおらしい人間なわけないよな!
あ〜良かった〜、安心した〜」
※椿、心の憂さがすっかり晴れて清々した様子。
愁夜「ちょっ……なんでそこで安心すんの?」
※愁夜、真顔に戻る。
椿「あのさ、俺、今、ひょっとしたらお前に
めちゃくちゃ愛されてんじゃないのかなって、
一瞬、とんでもない誇大妄想を抱いちまってさ、
うぷぷっ! 我ながら笑えるー!」
※椿、半笑い。
愁夜「……」
※愁夜、複雑な表情。ちょっと涙目。
椿「えっ? お前、何泣いてんの?
そこ、笑うとこだろ!
爆笑ポイントだろ!
うぷぷっ!」
※大爆笑する椿を見て、愁夜下を向く。
愁夜モノ:あなたが……好きです。
死ぬほど……好きです。
好きすぎて……伝えられないんです。
そんな男の純情を笑ってはいけませんよ?
藤堂椿。
※愁夜、顔を上げて氷の微笑を浮かべる。
愁夜「あまりにもくだらなさ過ぎて、
僕はちょっと笑えないかな。
それよりも、今回の件を飲む代わりに、
君にもペナルティーを課すことにするよ。
でないと公平じゃないだろう?」
椿「ペンルティー……とは?」
愁夜「たとえ非公式であれ、
僕達は付き合っている。
それなら君にも誠意を見せてほしい」
椿「何をすればいいんだよ」
愁夜「僕にキスをしてほしい。もちろん唇に」
椿「はっはあ?」
※椿、盛大に赤面する。