宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
「それでもロミルダは後悔していないのですよね? 今の道を選んだことを」
「ええ、そうですね。わたしはエッカルトと共に生きることを自分で望みました。それを悔やんだことは一度もありません」

 エラの決意が固いことを受け止め、ロミルダはそれ以上、口を出さないことにした。もとはと言えば、マテアスの思いを()んで意見したことだ。

「昼食はエラ様のお部屋に用意させます。今はひとまずご休憩なさってください」

 書庫を出ていくエラを見送りながら、不器用な息子を思う。マテアスだってエラのことを好きだろうに、エーミールとの仲を取り持とうとするのは、彼女の未来を思ってのことだろう。

(わたしだったら、ちゃっかりエラ様を手に入れようとするけれど)

 エーミールのことなど忘れさせて、自分の手で全力でしあわせにすると思う。実際にエッカルトを誰にも()られたくなくて、ロミルダはそれ以外のすべてを捨てた。押して押して押しまくって、その結果エッカルトの妻の座を勝ち取ったのだ。

「変に(およ)(ごし)なところは、エッカルトに似たのかしらねぇ」

 もっともエラにその気がないのだから、マテアスが迫ってもフラれるのが落ちだろう。それが分かっているからこそ、何もできずにいるのかもしれない。

 マテアスは(じき)に公爵家の家令を継ぐ。そろそろ伴侶を決めないとならなかった。
 候補の相手は何人かいるが、なんにせよ早く孫の顔が見たいものだ。そんなこと思いつつ、ロミルダも書庫を後にした。

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