宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
◇
「リーゼロッテ様、お帰りなさいませ」
家令のエッカルトをはじめ、ずらりと並んだ使用人たちにエントランスで出迎えられる。いつも以上に大人数だ。
「お嬢様……!」
「エラ、心配をかけたわね」
瞳を潤ませるエラに、リーゼロッテもつられるように涙目になった。
「お、お嬢様……そのお姿は……」
「え?」
次いでエラの顔が蒼白となる。
「お肌の調子がよくないのではありませんか!? しかもこんなに日焼けをなさって! ああっ、御髪も痛んでおります! なんてことっ」
そのまま卒倒しそうな勢いのエラに、リーゼロッテは慌ててフォローを入れた。
「あちらでよく散歩をしていたから」
「東宮の者は一体どんな仕事をしていたのです! お嬢様をこのようなひどい目にっ」
「あ、そうではなくて、わたくしが自分のことは自分でやると言ったのよ。王女殿下の東宮は人が少ないから、迷惑をかけるのも悪いと思って」
むしろ面倒くさがって、手入れをさぼっていたのはリーゼロッテ自身だ。しかしムンクの叫びもびっくりな顔になって、エラはエントランスの端まで響く声でまくし立てた。
「あああっなんたること! わたしのこの目が行き届かないうちに、お嬢様の玉のようなお肌が、絹糸のようにお美しい髪が……! 白の夜会はもう明後日です! 今から! 今から、わたしが精力込めてなんとかいたしますから、エラに、このエラにすべてお任せくださいっ!!」
有無を言わさずそのまま全身エステに強制連行だ。一同はあっけにとられて、エラとリーゼロッテを見送った。
「では、旦那様は執務にお戻りになられますかな?」
「……ああ」
ぽつんと取り残されたジークヴァルトは、文句も言えずにマテアスの待つ執務室へと戻ったのだった。
「リーゼロッテ様、お帰りなさいませ」
家令のエッカルトをはじめ、ずらりと並んだ使用人たちにエントランスで出迎えられる。いつも以上に大人数だ。
「お嬢様……!」
「エラ、心配をかけたわね」
瞳を潤ませるエラに、リーゼロッテもつられるように涙目になった。
「お、お嬢様……そのお姿は……」
「え?」
次いでエラの顔が蒼白となる。
「お肌の調子がよくないのではありませんか!? しかもこんなに日焼けをなさって! ああっ、御髪も痛んでおります! なんてことっ」
そのまま卒倒しそうな勢いのエラに、リーゼロッテは慌ててフォローを入れた。
「あちらでよく散歩をしていたから」
「東宮の者は一体どんな仕事をしていたのです! お嬢様をこのようなひどい目にっ」
「あ、そうではなくて、わたくしが自分のことは自分でやると言ったのよ。王女殿下の東宮は人が少ないから、迷惑をかけるのも悪いと思って」
むしろ面倒くさがって、手入れをさぼっていたのはリーゼロッテ自身だ。しかしムンクの叫びもびっくりな顔になって、エラはエントランスの端まで響く声でまくし立てた。
「あああっなんたること! わたしのこの目が行き届かないうちに、お嬢様の玉のようなお肌が、絹糸のようにお美しい髪が……! 白の夜会はもう明後日です! 今から! 今から、わたしが精力込めてなんとかいたしますから、エラに、このエラにすべてお任せくださいっ!!」
有無を言わさずそのまま全身エステに強制連行だ。一同はあっけにとられて、エラとリーゼロッテを見送った。
「では、旦那様は執務にお戻りになられますかな?」
「……ああ」
ぽつんと取り残されたジークヴァルトは、文句も言えずにマテアスの待つ執務室へと戻ったのだった。