宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
ルチアはしゅんとした様子で紅茶に口をつけ、やはり微妙な顔になる。
「やっぱり無理に飲まない方が……」
「そう思われるなら、次こそは美味しく淹れましょう」
「はい、エラ先生」
そんなやりとりにリーゼロッテはくすくすと笑ってしまった。ずっとひとりきりで過ごしていた東宮で、おしゃべりできることがたのしくて仕方がない。
準女官試験に合格したエラと共に、ルチアがやってきたことに初めはすごく驚いた。ルチアはブルーメ子爵家に今年養子に入った市井出身の少女だ。だがその容姿は王族を思わせて、おそらく王家の血を引く者の落とし胤なのだろうと、リーゼロッテはそう推測していた。
「ですがルチア様は、歴代最年少で準女官試験に合格したそうですから、もっと自信をお持ちになってください」
そう言うエラは男爵家で初めての合格者だ。今まで子爵家以上の人間しか試験を受けることがなかったらしい。
エラはカイに頼まれて、ルチアに侍女としての振る舞いや心構えを教えている。準女官試験を一緒に受けたのもその一環だった。カイがなぜルチアを気にかけているのか、エラには理由は分からない。だが推薦状を書いてくれた恩義には、きちんと報いるべきだ。
「とはいえルチア様は子爵家のご令嬢ですから、礼儀作法程度でも大丈夫でしょうし」
「いえ! わたしちゃんと独り立ちできるよう、きちんと仕事を覚えたいです! いつ放り出されるか分からないから……」
慌てて言ったルチアに、リーゼロッテとエラは目を見合わせた。ルチアはやはり自分の出自を知らされていないのかもしれない。
平民として育ち、いきなり子爵家に迎え入れられたのだ。唯一の肉親だった母親にも先立たれて、不安に思う気持ちはよく分かる。そこに来てフーゲンベルク家に行かされたり、ここ東宮に連れて来られたりで、環境の変化についていくのがやっとだろう。
「何かお困りのことがあったら、遠慮なくおっしゃってくださいませね」
「い、いえ、そんな恐れ多い」
「そんなふうにおっしゃらないで。わたくしたちお友達でしょう?」
相変わらずやさし過ぎるリーゼロッテに、エラは複雑な笑みとなる。そんなリーゼロッテが心配でもあり、誇らしくもあった。
「わたしも微力ながら、ルチア様のお力にならせてください」
「おふたりとも……ありがとうございます」
はにかんでルチアは、少しだけうちとけた笑顔を見せた。
「やっぱり無理に飲まない方が……」
「そう思われるなら、次こそは美味しく淹れましょう」
「はい、エラ先生」
そんなやりとりにリーゼロッテはくすくすと笑ってしまった。ずっとひとりきりで過ごしていた東宮で、おしゃべりできることがたのしくて仕方がない。
準女官試験に合格したエラと共に、ルチアがやってきたことに初めはすごく驚いた。ルチアはブルーメ子爵家に今年養子に入った市井出身の少女だ。だがその容姿は王族を思わせて、おそらく王家の血を引く者の落とし胤なのだろうと、リーゼロッテはそう推測していた。
「ですがルチア様は、歴代最年少で準女官試験に合格したそうですから、もっと自信をお持ちになってください」
そう言うエラは男爵家で初めての合格者だ。今まで子爵家以上の人間しか試験を受けることがなかったらしい。
エラはカイに頼まれて、ルチアに侍女としての振る舞いや心構えを教えている。準女官試験を一緒に受けたのもその一環だった。カイがなぜルチアを気にかけているのか、エラには理由は分からない。だが推薦状を書いてくれた恩義には、きちんと報いるべきだ。
「とはいえルチア様は子爵家のご令嬢ですから、礼儀作法程度でも大丈夫でしょうし」
「いえ! わたしちゃんと独り立ちできるよう、きちんと仕事を覚えたいです! いつ放り出されるか分からないから……」
慌てて言ったルチアに、リーゼロッテとエラは目を見合わせた。ルチアはやはり自分の出自を知らされていないのかもしれない。
平民として育ち、いきなり子爵家に迎え入れられたのだ。唯一の肉親だった母親にも先立たれて、不安に思う気持ちはよく分かる。そこに来てフーゲンベルク家に行かされたり、ここ東宮に連れて来られたりで、環境の変化についていくのがやっとだろう。
「何かお困りのことがあったら、遠慮なくおっしゃってくださいませね」
「い、いえ、そんな恐れ多い」
「そんなふうにおっしゃらないで。わたくしたちお友達でしょう?」
相変わらずやさし過ぎるリーゼロッテに、エラは複雑な笑みとなる。そんなリーゼロッテが心配でもあり、誇らしくもあった。
「わたしも微力ながら、ルチア様のお力にならせてください」
「おふたりとも……ありがとうございます」
はにかんでルチアは、少しだけうちとけた笑顔を見せた。