宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
◇
「リーゼロッテは侍女をふたり連れてきたのですって?」
「はい、ひとりは以前から侍女をしている男爵令嬢とのことですが、もうひとりはまだデビューも済んでいない子爵家のご令嬢のようですね」
「そう……その年で準女官だなんて珍しいわね」
「顔を見るくらいはなさいますか?」
「そうね、暇つぶしに会ってみようかしら」
頷くとアルベルトは部屋を出ていった。しばらくしてノックと共に、緊張した面持ちの令嬢がひとり現れる。
「こちらはエデラー男爵令嬢です。もうひと方は階段を昇るのに苦慮されておりますので、わたしはいま一度迎えに行ってまいります」
いつになく硬い表情のアルベルトが出ていくと、残された男爵令嬢が礼を取った。
「エラ・エデラーでございます。お召しにより参上いたしました」
「あらあなた、もしかしてあの時の……? いいわ、顔をお上げなさい」
エラをまじまじと見やり、クリスティーナはくすりと笑った。
「やっぱり。あなた、もう相手を選んだようね?」
「あの……恐れながら、王女殿下のおっしゃることがわたしにはよく理解できません」
戸惑うように返したエラに、クリスティーナは少し意外そうな顔になる。
「リーゼロッテはわたくしの正体を話してはいないのね」
「王女殿下の正体……?」
「あなた去年の今頃、エーミール・グレーデンと共にわたくしの元へと来たでしょう? ほら、こうすれば思い出すのではなくて?」
クリスティーナはリーゼロッテの目の前でやって見せたように、貴族街の聖女の動きを再現した。はっと息を漏らし、エラは驚き顔となる。
「そんな、まさか……」
「そのまさかよ。あの日、わたくしが伝えた言葉を覚えていて? あなたは三人の内から必ずひとりを選び取ると」
「覚えてはおりますが……ですがわたしは」
「そう……まだ自覚はないようね。でもあなたはもう、選んだ道を進んでしまっている。後戻りはできないほどに」
いまだ信じられないといったエラを見やり、クリスティーナは菫色の瞳を細めた。
「リーゼロッテは侍女をふたり連れてきたのですって?」
「はい、ひとりは以前から侍女をしている男爵令嬢とのことですが、もうひとりはまだデビューも済んでいない子爵家のご令嬢のようですね」
「そう……その年で準女官だなんて珍しいわね」
「顔を見るくらいはなさいますか?」
「そうね、暇つぶしに会ってみようかしら」
頷くとアルベルトは部屋を出ていった。しばらくしてノックと共に、緊張した面持ちの令嬢がひとり現れる。
「こちらはエデラー男爵令嬢です。もうひと方は階段を昇るのに苦慮されておりますので、わたしはいま一度迎えに行ってまいります」
いつになく硬い表情のアルベルトが出ていくと、残された男爵令嬢が礼を取った。
「エラ・エデラーでございます。お召しにより参上いたしました」
「あらあなた、もしかしてあの時の……? いいわ、顔をお上げなさい」
エラをまじまじと見やり、クリスティーナはくすりと笑った。
「やっぱり。あなた、もう相手を選んだようね?」
「あの……恐れながら、王女殿下のおっしゃることがわたしにはよく理解できません」
戸惑うように返したエラに、クリスティーナは少し意外そうな顔になる。
「リーゼロッテはわたくしの正体を話してはいないのね」
「王女殿下の正体……?」
「あなた去年の今頃、エーミール・グレーデンと共にわたくしの元へと来たでしょう? ほら、こうすれば思い出すのではなくて?」
クリスティーナはリーゼロッテの目の前でやって見せたように、貴族街の聖女の動きを再現した。はっと息を漏らし、エラは驚き顔となる。
「そんな、まさか……」
「そのまさかよ。あの日、わたくしが伝えた言葉を覚えていて? あなたは三人の内から必ずひとりを選び取ると」
「覚えてはおりますが……ですがわたしは」
「そう……まだ自覚はないようね。でもあなたはもう、選んだ道を進んでしまっている。後戻りはできないほどに」
いまだ信じられないといったエラを見やり、クリスティーナは菫色の瞳を細めた。