宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
◇
「ねえ、エラ。王子殿下が間もなく王位を継がれるって本当?」
「はい、年明けと共に王位継承の儀が執り行われるそうです」
王女の東宮でリーゼロッテは年の瀬を過ごしていた。フーゲンベルク家には一度も戻れずに、ジークヴァルトとも数えるほどしか会えていない。
(まるで浦島太郎状態ね)
ここにいると時間がゆっくりと過ぎていく。代り映えのしない毎日に、時代の流れに取り残された気分になってくる。することもなく、雪の積もる庭をただ眺めた。
ルチアは新年を迎えるにあたって、一度ブルーメ家に帰された。エラだけは変わらずリーゼロッテのそばにいてくれている。
「エラも儀に出たかったでしょう? わたくしにつき合わせてごめんなさい」
「いえ、お嬢様のそばにいられることが、わたしにとっていちばんですから」
「ありがとう、エラ」
笑顔を返し、再び庭へと視線を向けた。アンネマリーの婚儀の様子を思い出す。きっと王位継承の儀も、荘厳で華やかなものになるのだろう。
(この世界にもネット中継とか動画とかがあればよかったのに)
そんなことを思うが、この静かな国には不似合いそうだ。
穏やかに日々は繰り返されて、教えられなければ気づかないくらいの感覚で、リーゼロッテは年越しを迎えた。
王城で鳴らされた新年を迎える鐘は、朝焼けの中、ここ東宮までも遠く空に響き渡った。
「ねえ、エラ。王子殿下が間もなく王位を継がれるって本当?」
「はい、年明けと共に王位継承の儀が執り行われるそうです」
王女の東宮でリーゼロッテは年の瀬を過ごしていた。フーゲンベルク家には一度も戻れずに、ジークヴァルトとも数えるほどしか会えていない。
(まるで浦島太郎状態ね)
ここにいると時間がゆっくりと過ぎていく。代り映えのしない毎日に、時代の流れに取り残された気分になってくる。することもなく、雪の積もる庭をただ眺めた。
ルチアは新年を迎えるにあたって、一度ブルーメ家に帰された。エラだけは変わらずリーゼロッテのそばにいてくれている。
「エラも儀に出たかったでしょう? わたくしにつき合わせてごめんなさい」
「いえ、お嬢様のそばにいられることが、わたしにとっていちばんですから」
「ありがとう、エラ」
笑顔を返し、再び庭へと視線を向けた。アンネマリーの婚儀の様子を思い出す。きっと王位継承の儀も、荘厳で華やかなものになるのだろう。
(この世界にもネット中継とか動画とかがあればよかったのに)
そんなことを思うが、この静かな国には不似合いそうだ。
穏やかに日々は繰り返されて、教えられなければ気づかないくらいの感覚で、リーゼロッテは年越しを迎えた。
王城で鳴らされた新年を迎える鐘は、朝焼けの中、ここ東宮までも遠く空に響き渡った。