宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
「いえ、ボクがちゃんと……いたっ」
「指を切ったのか? 見せてみろ」
言わんこっちゃないと思いつつ、ミヒャエルはマルコに近づいた。指先から赤い血が床に滴り落ちている。ビョウを取り上げ、ミヒャエルは小刻みに震える手を取った。
「深いな」
流れる血はミヒャエルの手にも伝わってくる。これはすぐに手当てをした方がいい。自分が刃物を持ってくるよう命じたとでも言えば、マルコが罪を問われることはないだろう。そう思った矢先、うつむいて顔を真っ青にしていたマルコが、突然くすくすと笑いだした。
「……なぁんだ。ミヒャエル様のそばにいれば、もっと王城を血の海にしてくれると思ったのに」
「マルコ……? お前何を言って」
「ほんと、期待外れ」
打って変わって爛々と光る瞳でマルコは見上げてきた。血でぬるつく手をミヒャエルに掴まれたまま、心底たのしそうに上気した頬を向けてくる。
「つまんないから、もっといいこと探さなきゃ」
「な……――っ!」
中途半端に剥かれたビョウが、ミヒャエルの手を離れ、床の上を転がった。突然受けた腹の衝撃に、ミヒャエルは自身の鳩尾に視線を落とした。離れないマルコの手首を無意識に掴み取る。
握られたナイフがこの腹に突き立てられている。それを認識すると同時に、ミヒャエルの口から大量の血が吹き出した。
鮮血を頭に浴びながら、うっとりとした表情のマルコは、さらに奥へとナイフを押し込んだ。
「な……ぜ……」
マルコに倒れ込み、ミヒャエルはそのまま壊れた人形のように床に伏す。
「こめんねミヒャエル様、びっくりしたよね……!」
「指を切ったのか? 見せてみろ」
言わんこっちゃないと思いつつ、ミヒャエルはマルコに近づいた。指先から赤い血が床に滴り落ちている。ビョウを取り上げ、ミヒャエルは小刻みに震える手を取った。
「深いな」
流れる血はミヒャエルの手にも伝わってくる。これはすぐに手当てをした方がいい。自分が刃物を持ってくるよう命じたとでも言えば、マルコが罪を問われることはないだろう。そう思った矢先、うつむいて顔を真っ青にしていたマルコが、突然くすくすと笑いだした。
「……なぁんだ。ミヒャエル様のそばにいれば、もっと王城を血の海にしてくれると思ったのに」
「マルコ……? お前何を言って」
「ほんと、期待外れ」
打って変わって爛々と光る瞳でマルコは見上げてきた。血でぬるつく手をミヒャエルに掴まれたまま、心底たのしそうに上気した頬を向けてくる。
「つまんないから、もっといいこと探さなきゃ」
「な……――っ!」
中途半端に剥かれたビョウが、ミヒャエルの手を離れ、床の上を転がった。突然受けた腹の衝撃に、ミヒャエルは自身の鳩尾に視線を落とした。離れないマルコの手首を無意識に掴み取る。
握られたナイフがこの腹に突き立てられている。それを認識すると同時に、ミヒャエルの口から大量の血が吹き出した。
鮮血を頭に浴びながら、うっとりとした表情のマルコは、さらに奥へとナイフを押し込んだ。
「な……ぜ……」
マルコに倒れ込み、ミヒャエルはそのまま壊れた人形のように床に伏す。
「こめんねミヒャエル様、びっくりしたよね……!」