宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
ますます顔をそらそうとするジークヴァルトに、悲しくなって俯いた。どんなことくらいかは、せめて話してほしいと思ってしまう。
「言ったら我慢できなくなるだろう……それに今聞いたら後悔するぞ」
「後悔だなんて……」
切羽詰まったように言われ、リーゼロッテははっとなった。もしかしてジークヴァルトはトイレを我慢しているのではないのかと。
「も、申し訳ございません、わたくし不躾に詮索などして……! 馬車を止めてもらいましょうか? 誰も来ないようにわたくしがちゃんと見張っておりますから! ああ、でもヴァルト様のお立場で外でするなんてできませんわよね!?」
「外でオレに何をさせるつもりだ」
「そ、そうですわよね、わたくしったらなんて恥ずかしいことをっ。あの、御者の方! ジークヴァルト様が一大事なの! 悪いのだけれどできるだけ急いでお屋敷に戻ってもらえないかしら!?」
いきなり御者に声をかけたリーゼロッテに、ジークヴァルトはぎょっとした顔をした。
「お前何を言って……」
「いいえ、わかっておりますから、ヴァルト様は何もおっしゃらないでくださいませ。ああ! お膝に乗っているのも圧迫しておつらいですわよね。わたくしったら気が回らずに……!」
「いや、待て」
「はっ! こういったことは考えると余計に我慢できなくなりますわよね。ああ、わたくし一体どうしてさしあげたらいいのかしら……!」
おろおろとひとりでてんぱっているリーゼロッテを見やり、ジークヴァルトはふっと口元に魔王の笑みをのせた。
「問題ない。今はちゃんと我慢してやる」
「え……?」
「そのかわり、そのときは覚悟しておけよ」
余裕の手つきで髪を梳き出したジークヴァルトに、リーゼロッテは再びおとなしく体を預けた。
(覚悟って……)
狭い馬車で漏らされたりしたら確かに覚悟が要りそうだ。そんなことを思ってリーゼロッテは神妙に頷いた。
相変わらずかみ合わないまま、ふたりを乗せた馬車は街道を進んでいく。
ジークヴァルトの我慢の正体にリーゼロッテが気づくのは、そう遠くない未来のお話。
「言ったら我慢できなくなるだろう……それに今聞いたら後悔するぞ」
「後悔だなんて……」
切羽詰まったように言われ、リーゼロッテははっとなった。もしかしてジークヴァルトはトイレを我慢しているのではないのかと。
「も、申し訳ございません、わたくし不躾に詮索などして……! 馬車を止めてもらいましょうか? 誰も来ないようにわたくしがちゃんと見張っておりますから! ああ、でもヴァルト様のお立場で外でするなんてできませんわよね!?」
「外でオレに何をさせるつもりだ」
「そ、そうですわよね、わたくしったらなんて恥ずかしいことをっ。あの、御者の方! ジークヴァルト様が一大事なの! 悪いのだけれどできるだけ急いでお屋敷に戻ってもらえないかしら!?」
いきなり御者に声をかけたリーゼロッテに、ジークヴァルトはぎょっとした顔をした。
「お前何を言って……」
「いいえ、わかっておりますから、ヴァルト様は何もおっしゃらないでくださいませ。ああ! お膝に乗っているのも圧迫しておつらいですわよね。わたくしったら気が回らずに……!」
「いや、待て」
「はっ! こういったことは考えると余計に我慢できなくなりますわよね。ああ、わたくし一体どうしてさしあげたらいいのかしら……!」
おろおろとひとりでてんぱっているリーゼロッテを見やり、ジークヴァルトはふっと口元に魔王の笑みをのせた。
「問題ない。今はちゃんと我慢してやる」
「え……?」
「そのかわり、そのときは覚悟しておけよ」
余裕の手つきで髪を梳き出したジークヴァルトに、リーゼロッテは再びおとなしく体を預けた。
(覚悟って……)
狭い馬車で漏らされたりしたら確かに覚悟が要りそうだ。そんなことを思ってリーゼロッテは神妙に頷いた。
相変わらずかみ合わないまま、ふたりを乗せた馬車は街道を進んでいく。
ジークヴァルトの我慢の正体にリーゼロッテが気づくのは、そう遠くない未来のお話。