宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
「では邪魔者は退散させていただきます」
「またいつでも顔を見せに来るといいわ」
「いや、用がなければ来なくていい」
イジドーラを強く抱き込んで、ディートリヒが間髪入れずに言う。ますます呆れたような顔をして、カイは深々と頭を垂れた。
「もうひとり、見つかっていない託宣者がおりますので、その手掛かりを見つけた時にでもまた参ります」
「あら、それではいつになるか分からないじゃない。いいわ、今まで通り定期報告なさい」
「仰せのままに、イジドーラ様」
「報告は書類にまとめて来い。そして最短で帰れ」
「まぁ、ディートリヒ様、随分とおもしろいことを」
「いや、それ絶対に本気ですって」
カイが小声で突っ込むと、すかさずディートリヒが睨みつけてくる。
「ああ、もう……今すぐ御前失礼いたしますから、そんなに怒らないでくださいよ」
やれやれといったふうにカイが部屋を辞していく。その背を見送るや否やディートリヒが口づけてきた。
「イジィはオレのものだ。誰にも渡さん」
「どうなさったのです? 先ほどからお戯ればかり。それにあの大仰なしゃべり方は、もうおやめになったのですか?」
「ああ。威厳ある王らしくて、オレもなかなか様になっていただろう? だがもう必要ない。それともイジィはあの方がお気に入りか?」
「いえ、王太子でいらした頃のディートリヒ様に戻ったようで、とても懐かしいですわ」
王位を継ぐ前の奔放なディートリヒを思い出し、イジドーラは遠くを思うように目を細めた。
「またいつでも顔を見せに来るといいわ」
「いや、用がなければ来なくていい」
イジドーラを強く抱き込んで、ディートリヒが間髪入れずに言う。ますます呆れたような顔をして、カイは深々と頭を垂れた。
「もうひとり、見つかっていない託宣者がおりますので、その手掛かりを見つけた時にでもまた参ります」
「あら、それではいつになるか分からないじゃない。いいわ、今まで通り定期報告なさい」
「仰せのままに、イジドーラ様」
「報告は書類にまとめて来い。そして最短で帰れ」
「まぁ、ディートリヒ様、随分とおもしろいことを」
「いや、それ絶対に本気ですって」
カイが小声で突っ込むと、すかさずディートリヒが睨みつけてくる。
「ああ、もう……今すぐ御前失礼いたしますから、そんなに怒らないでくださいよ」
やれやれといったふうにカイが部屋を辞していく。その背を見送るや否やディートリヒが口づけてきた。
「イジィはオレのものだ。誰にも渡さん」
「どうなさったのです? 先ほどからお戯ればかり。それにあの大仰なしゃべり方は、もうおやめになったのですか?」
「ああ。威厳ある王らしくて、オレもなかなか様になっていただろう? だがもう必要ない。それともイジィはあの方がお気に入りか?」
「いえ、王太子でいらした頃のディートリヒ様に戻ったようで、とても懐かしいですわ」
王位を継ぐ前の奔放なディートリヒを思い出し、イジドーラは遠くを思うように目を細めた。