宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
◇
王城へと通じる神殿の廊下が、長く真っすぐと続く。レミュリオの背に付き従いながら、マルコは俯いたまま歩いていた。
今日は祈りの泉で、第一王女による神事が行われる。月一程度で行われるそれに、レミュリオはいつも加わっていた。ここ最近、お供としてマルコもついて行くようになった。とはいっても、控えの部屋で神事が終わるのを待っているだけだ。
「うわっ」
ぼんやりと歩いていたせいか、何もないところでつまずいた。そこをレミュリオの手が支えてくる。
「大丈夫ですか? マルコさん」
「す、すみません! ボクぼうっとしててっ」
「怪我がないのならよかったです」
やさしく微笑んでレミュリオは再び歩き出した。
「体調が優れないようですね。もしかしてあまり眠れていないのですか?」
そう問いかけられてマルコは口ごもった。ミヒャエルのことを考えると、怖くて眠りが浅くなる。自分がビョウを持って行ったせいで、ミヒャエルは自害してしまったのだから。
あの日、果物ナイフで指を切ったあと、マルコの意識は遠のいた。そして気づいたときにはもう、血まみれになったミヒャエルが目の前で息絶えていた。
王城での事情聴取でマルコはそう答えた。いや、そう答えるしかなかったと言うべきか。
どうしてミヒャエルが死を選んだのか。己の罪を悔いての選択だったのだろうか。だがあの日のミヒャエルはとても穏やかだった。霞がかかったように直前の記憶が思い出せなくて、マルコは聴取中にずっと泣き続けた。
精神的なショックが原因で何も覚えていないのだろうと結論づけられて、マルコは騎士団から解放された。結局は何も分からないまま、公にはミヒャエルは病死と発表された。
マルコは口止めを要求され、胸の奥にぐずぐずと何かが燻ったまま、眠れない夜を何日も過ごしている。
「最近、物騒な事が続いているので、不安に思う気持ちも分かります。ですが心配はいりません。神殿でも警備の体制を強化していますから」
「はい……ありがとうございます、レミュリオ様」
王城へと通じる神殿の廊下が、長く真っすぐと続く。レミュリオの背に付き従いながら、マルコは俯いたまま歩いていた。
今日は祈りの泉で、第一王女による神事が行われる。月一程度で行われるそれに、レミュリオはいつも加わっていた。ここ最近、お供としてマルコもついて行くようになった。とはいっても、控えの部屋で神事が終わるのを待っているだけだ。
「うわっ」
ぼんやりと歩いていたせいか、何もないところでつまずいた。そこをレミュリオの手が支えてくる。
「大丈夫ですか? マルコさん」
「す、すみません! ボクぼうっとしててっ」
「怪我がないのならよかったです」
やさしく微笑んでレミュリオは再び歩き出した。
「体調が優れないようですね。もしかしてあまり眠れていないのですか?」
そう問いかけられてマルコは口ごもった。ミヒャエルのことを考えると、怖くて眠りが浅くなる。自分がビョウを持って行ったせいで、ミヒャエルは自害してしまったのだから。
あの日、果物ナイフで指を切ったあと、マルコの意識は遠のいた。そして気づいたときにはもう、血まみれになったミヒャエルが目の前で息絶えていた。
王城での事情聴取でマルコはそう答えた。いや、そう答えるしかなかったと言うべきか。
どうしてミヒャエルが死を選んだのか。己の罪を悔いての選択だったのだろうか。だがあの日のミヒャエルはとても穏やかだった。霞がかかったように直前の記憶が思い出せなくて、マルコは聴取中にずっと泣き続けた。
精神的なショックが原因で何も覚えていないのだろうと結論づけられて、マルコは騎士団から解放された。結局は何も分からないまま、公にはミヒャエルは病死と発表された。
マルコは口止めを要求され、胸の奥にぐずぐずと何かが燻ったまま、眠れない夜を何日も過ごしている。
「最近、物騒な事が続いているので、不安に思う気持ちも分かります。ですが心配はいりません。神殿でも警備の体制を強化していますから」
「はい……ありがとうございます、レミュリオ様」