宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
「でも……こんな力あったって、何の役にも立たないじゃないですか」
「いいえ、その力は何物にも代え難いものです。あなたは少し自覚が足りていないようですね」
「未来が視えるからって何だって言うんですか! クマに殺されるって知っていたのに、ボクは父さんも母さんも助けられなかった!」
そうならないように、必死になって手を尽くした。だが夢見で視た映像そのままに、結局ふたりは死んでしまった。
「夢見を変えられない。そのことこそが重要なのですよ。王女の夢見はとてもあやふやです。少しの出来事で王女の視た未来は変わっていってしまう。そんな夢見に価値など見いだせないでしょう?」
冷静なままレミュリオは言った。その冷たいとも感じさせる口調に、マルコもはっと我に返る。
「いいですか、マルコさん。第一王女の夢見の巫女としての力はとても弱い。それはシネヴァの森の巫女に遠く及ばないものです。これまで神託を降ろせる巫女の力は、王家直系の女性にのみ受け継がれてきました。それなのにその力を、神殿の人間であるあなたが持っている。この意味が分かりますか?」
「いえ、すみません……ボク頭が悪くて……」
レミュリオの言葉はいつも難しくて、マルコにはちっとも理解できない。だが何か怖いことを言われているようで、マルコは思わず視線をそらした。
「青龍の言葉を受け取れるのは王家の血筋だけです。そして重要な神事が執り行えるのは、神殿の力があってこそ。これは権力が偏らないために、青龍が定めた国の掟。長い歴史の中、これは絶対的に守られ続けてきました。ですがあなたは夢見の力を持っている。王家の血脈でもないあなたが」
「でも、ミヒャエル様も夢見の力を持っていたって聞きました……!」
「彼の力は幼少期のみのもの。確かに夢見の力を有して生まれた者は過去にも存在します。ですがすべての者が成長と共にその力を失っている。マルコさん、あなたは今いくつですか?」
「今年で……十六になりました」
「そうでしょう? その年齢まで夢見の力を持ち続けた人間は、過去にひとりも存在しない。神殿が単独で龍の意思を降ろせるとなったら、王家の血筋はもはや必要なくなります。あなたの持つ夢見の力は、この国の均衡を揺るがしかねないのですよ」
「そんなこと言われたって! ボクの夢見だって、もう無くなってるかもしれないじゃないですか!」
マルコは必死に叫んだ。国の事情など説明されても何も理解できない。だがいつも穏やかなレミュリオが、今は恐ろしくて仕方がなかった。
「いいえ、その力は何物にも代え難いものです。あなたは少し自覚が足りていないようですね」
「未来が視えるからって何だって言うんですか! クマに殺されるって知っていたのに、ボクは父さんも母さんも助けられなかった!」
そうならないように、必死になって手を尽くした。だが夢見で視た映像そのままに、結局ふたりは死んでしまった。
「夢見を変えられない。そのことこそが重要なのですよ。王女の夢見はとてもあやふやです。少しの出来事で王女の視た未来は変わっていってしまう。そんな夢見に価値など見いだせないでしょう?」
冷静なままレミュリオは言った。その冷たいとも感じさせる口調に、マルコもはっと我に返る。
「いいですか、マルコさん。第一王女の夢見の巫女としての力はとても弱い。それはシネヴァの森の巫女に遠く及ばないものです。これまで神託を降ろせる巫女の力は、王家直系の女性にのみ受け継がれてきました。それなのにその力を、神殿の人間であるあなたが持っている。この意味が分かりますか?」
「いえ、すみません……ボク頭が悪くて……」
レミュリオの言葉はいつも難しくて、マルコにはちっとも理解できない。だが何か怖いことを言われているようで、マルコは思わず視線をそらした。
「青龍の言葉を受け取れるのは王家の血筋だけです。そして重要な神事が執り行えるのは、神殿の力があってこそ。これは権力が偏らないために、青龍が定めた国の掟。長い歴史の中、これは絶対的に守られ続けてきました。ですがあなたは夢見の力を持っている。王家の血脈でもないあなたが」
「でも、ミヒャエル様も夢見の力を持っていたって聞きました……!」
「彼の力は幼少期のみのもの。確かに夢見の力を有して生まれた者は過去にも存在します。ですがすべての者が成長と共にその力を失っている。マルコさん、あなたは今いくつですか?」
「今年で……十六になりました」
「そうでしょう? その年齢まで夢見の力を持ち続けた人間は、過去にひとりも存在しない。神殿が単独で龍の意思を降ろせるとなったら、王家の血筋はもはや必要なくなります。あなたの持つ夢見の力は、この国の均衡を揺るがしかねないのですよ」
「そんなこと言われたって! ボクの夢見だって、もう無くなってるかもしれないじゃないですか!」
マルコは必死に叫んだ。国の事情など説明されても何も理解できない。だがいつも穏やかなレミュリオが、今は恐ろしくて仕方がなかった。