宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
王城の整えられた庭にはほど遠い景色を見つめ、茫然としたつぶやきが漏れて出る。その時、鐘の音が遠くに響き、リーゼロッテは窓の格子に手をかけた。
「……あの音は」
王城に隣接された本神殿で鳴らされる、クリスティーナ王女のための弔いの鐘だ。あの音が聞こえるということは、ここは王城からそう離れた場所ではないのだろう。
閉じ込められたというのは、自分の勘違いかもしれない。だがそんな思いはすぐに打ち砕かれた。
「聖女様、お目覚めになられましたか?」
しゃがれた男の声がして、びくりと身を震わせる。振り向くと、扉のくり抜かれた小窓から、誰かが中を覗き込んでいた。白い頭巾をかぶり、ぎょろりとした目だけがこちらを見やっている。
「あの……ごめんなさい、わたくし泉で眠ってしまったみたいで。でも神事は終わったのでしょう? だったらもうジークヴァルト様のところに戻りたいのだけれど」
近づくのはなんだか怖くて、リーゼロッテは遠まきに声をかけた。不安にかられて早口でまくしたててしまう。
「外から鍵がかかっているみたいですから、そちらから扉を開けていただけませんか? それが無理なら、黒い騎士服を着た方がいらしたでしょう? その方を今すぐ呼んできてほしいです」
「聖女様は青龍の花嫁となるお方。正式にお迎えが来るまで、どうぞこのままここでお過ごしください」
「え……?」
聞き取りにくいしゃがれた声に、リーゼロッテは一瞬言葉を失った。男の目が枠から消えたかと思うと、扉の下から食事の乗った盆が押し込まれてくる。
男が去る気配に、慌てて扉へと駆け寄った。小窓から覗くと、遠ざかる白い神官服の背が見えた。頭巾をかぶってはいるが、あの男は確かに神官なのだろう。
「青龍の花嫁? 一体どういうことなの……?」
呆然としたまま、リーゼロッテはしばらくの間、その場に立ち尽くした。
「……あの音は」
王城に隣接された本神殿で鳴らされる、クリスティーナ王女のための弔いの鐘だ。あの音が聞こえるということは、ここは王城からそう離れた場所ではないのだろう。
閉じ込められたというのは、自分の勘違いかもしれない。だがそんな思いはすぐに打ち砕かれた。
「聖女様、お目覚めになられましたか?」
しゃがれた男の声がして、びくりと身を震わせる。振り向くと、扉のくり抜かれた小窓から、誰かが中を覗き込んでいた。白い頭巾をかぶり、ぎょろりとした目だけがこちらを見やっている。
「あの……ごめんなさい、わたくし泉で眠ってしまったみたいで。でも神事は終わったのでしょう? だったらもうジークヴァルト様のところに戻りたいのだけれど」
近づくのはなんだか怖くて、リーゼロッテは遠まきに声をかけた。不安にかられて早口でまくしたててしまう。
「外から鍵がかかっているみたいですから、そちらから扉を開けていただけませんか? それが無理なら、黒い騎士服を着た方がいらしたでしょう? その方を今すぐ呼んできてほしいです」
「聖女様は青龍の花嫁となるお方。正式にお迎えが来るまで、どうぞこのままここでお過ごしください」
「え……?」
聞き取りにくいしゃがれた声に、リーゼロッテは一瞬言葉を失った。男の目が枠から消えたかと思うと、扉の下から食事の乗った盆が押し込まれてくる。
男が去る気配に、慌てて扉へと駆け寄った。小窓から覗くと、遠ざかる白い神官服の背が見えた。頭巾をかぶってはいるが、あの男は確かに神官なのだろう。
「青龍の花嫁? 一体どういうことなの……?」
呆然としたまま、リーゼロッテはしばらくの間、その場に立ち尽くした。