宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
「部屋に入って来たとき、白髪のおばあちゃんって思ったけど、やっぱりそれを言ったらさすがにベッティも傷つくわよね……普段は茶色の髪だから、潜入のために染めているのかしら……」
「この白髪が地毛なんですぅ。目立つので普段は染めてる感じですねぇ。今回は下働きの無力な下女な設定ですのでぇ、染め直したりもできないので地毛のままにしてありますぅ」
「そうなのね……って、え? わたくし何か言った?」
驚くリーゼロッテを見て、顎に手を当てたベッティが「ふむ」と思案顔になる。
「それでリーゼロッテ様はぁ、ご自分がどうしてここへ連れて来られたと思っておいでですかぁ?」
「そうね……怒れる龍神への貢物と言えば生贄の純潔の乙女……ラノベとかだとありがちな設定よね……でもベッティにラノベとか言ってもワケワカメだろうし、なんて説明すればいいのかしら……?」
「なるほどぉ。確かに一部よく分からない言い回しがありますがぁ、普段リーゼロッテ様がこのベッティにまでお気を使ってくださっていることだけはぁ、大いに理解いたしましたぁ」
「え? わたくし今、何か口にした?」
「時にリーゼロッテ様ぁ、ここでの食事はどんなものが用意されますかぁ?」
急に話題を変えられたが、リーゼロッテは何の疑問を持たずに言葉を返した。
「いつも薬草くさいスープとかパンとか果物とかそんなところよ」
「薬草くさい……やはりそうですかぁ」
リーゼロッテに鼻を近づけながら、ふんふんとベッティはにおいをかいでくる。
「え? わたくし臭う? 体は毎日拭いているんだけれど……」
「いえ、リーゼロッテ様からはハリィエンジュの香りがしますからぁ」
「ハリィエンジュ?」
「煎じて飲むとちょっと素直になりすぎる植物ですぅ」
「素直になりすぎる植物……? 自白剤的な?」
不穏な言葉に眉をひそめる。
「自白剤というより判断能力が鈍くなってぇ、相手の言うことを何でも聞いてしまう感じですねぇ。微量だと嘘がつけずに本音が漏れてしまう程度ですがぁ」
「嘘がつけない……? 何それ、めちゃくちゃやばくない?」
「ご自覚もないようですしぃ、目の当たりにすると本当にやばいですねぇ」
「自覚なしでべらべらしゃべってしまうの? ドラ〇もんの秘密道具にそんなアイテムがあったわよね。ていうか、こんなこと知ってるなんて、ベッティって凄腕の諜報員みたい」
「みたいというか実際そうなんですがぁ……これはちょっと放置できませんねぇ」
困り顔のベッティを前に、リーゼロッテはこてんと首を傾けた。
「とにかくリーゼロッテ様はぁ、わたしがいいと言ったもの以外、今後は絶対に口になさらないでくださいましねぇ」
そう言ってベッティは目の覚めるようなまずいキャンディを、リーゼロッテの口に押し込んだ。
「この白髪が地毛なんですぅ。目立つので普段は染めてる感じですねぇ。今回は下働きの無力な下女な設定ですのでぇ、染め直したりもできないので地毛のままにしてありますぅ」
「そうなのね……って、え? わたくし何か言った?」
驚くリーゼロッテを見て、顎に手を当てたベッティが「ふむ」と思案顔になる。
「それでリーゼロッテ様はぁ、ご自分がどうしてここへ連れて来られたと思っておいでですかぁ?」
「そうね……怒れる龍神への貢物と言えば生贄の純潔の乙女……ラノベとかだとありがちな設定よね……でもベッティにラノベとか言ってもワケワカメだろうし、なんて説明すればいいのかしら……?」
「なるほどぉ。確かに一部よく分からない言い回しがありますがぁ、普段リーゼロッテ様がこのベッティにまでお気を使ってくださっていることだけはぁ、大いに理解いたしましたぁ」
「え? わたくし今、何か口にした?」
「時にリーゼロッテ様ぁ、ここでの食事はどんなものが用意されますかぁ?」
急に話題を変えられたが、リーゼロッテは何の疑問を持たずに言葉を返した。
「いつも薬草くさいスープとかパンとか果物とかそんなところよ」
「薬草くさい……やはりそうですかぁ」
リーゼロッテに鼻を近づけながら、ふんふんとベッティはにおいをかいでくる。
「え? わたくし臭う? 体は毎日拭いているんだけれど……」
「いえ、リーゼロッテ様からはハリィエンジュの香りがしますからぁ」
「ハリィエンジュ?」
「煎じて飲むとちょっと素直になりすぎる植物ですぅ」
「素直になりすぎる植物……? 自白剤的な?」
不穏な言葉に眉をひそめる。
「自白剤というより判断能力が鈍くなってぇ、相手の言うことを何でも聞いてしまう感じですねぇ。微量だと嘘がつけずに本音が漏れてしまう程度ですがぁ」
「嘘がつけない……? 何それ、めちゃくちゃやばくない?」
「ご自覚もないようですしぃ、目の当たりにすると本当にやばいですねぇ」
「自覚なしでべらべらしゃべってしまうの? ドラ〇もんの秘密道具にそんなアイテムがあったわよね。ていうか、こんなこと知ってるなんて、ベッティって凄腕の諜報員みたい」
「みたいというか実際そうなんですがぁ……これはちょっと放置できませんねぇ」
困り顔のベッティを前に、リーゼロッテはこてんと首を傾けた。
「とにかくリーゼロッテ様はぁ、わたしがいいと言ったもの以外、今後は絶対に口になさらないでくださいましねぇ」
そう言ってベッティは目の覚めるようなまずいキャンディを、リーゼロッテの口に押し込んだ。