宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
◇
翌日、おしゃべりオスカーが足取りも軽くやってきた。オスカーだけはリーゼロッテに好意的だ。どんなにわがままを言おうと、同情とともに受け取ってくれる。お調子者のやさしい性格なのが、今までのやり取りから伝わってきた。
「聖女様! 今日はご希望のアレをお持ちしましたよ!」
「ご希望のアレ?」
見やると連れられたベッティが、大きなクマの縫いぐるみを抱えていた。
「アルフレート!」
受け取って抱きしめる。茶色のもふもふに顔をうずめた。
「あら? でもこの子、アルフレートじゃないわ……」
よく見ると顔つきが微妙に違う。アルフレートは真っ赤なリボンを首に巻いているが、目の前のクマは青いリボンをつけていた。
「すみません、さすがに貴族の屋敷からは持ち出せなくて……」
しゅんとするリーゼロッテを見て、オスカーがすまなそうに言った。
「いいえ、それでもわたくしうれしいですわ」
縫いぐるみを高々と持ち上げて、リーゼロッテは狭い部屋の中くるくると回った。スカートの裾がふわりと舞って、オスカーの目がその動きを追っていく。
「ありがとうございます、オスカー様!」
頬を染めて見上げると、ぽーっとしたままオスカーは鍵の束を手落とした。我に返ると、慌てて扉を閉めて鍵をかける。リーゼロッテが逃げ出さないのをいいことに、対応がだんだんゆるゆるとなっていた。
(ミッションその四。油断させるべし)
ここ数日、リーゼロッテは薬草入りの食事を完食していることになっている。食べているのはベッティなのだが、神官たちは薬が効いていると思っていることだろう。
「ふふ、あなたはアルフレート二世よ。これからよろしくね?」
リーゼロッテは今年で十七歳になる。そんな歳で縫いぐるみに語りかけるのもアレな話だが、今は薬が効いている聖女様の設定だ。今夜から一緒に寝ましょうね。恥ずかしげもなくそう言って、アルフレート二世のつぶらな瞳と見つめ合った。
翌日、おしゃべりオスカーが足取りも軽くやってきた。オスカーだけはリーゼロッテに好意的だ。どんなにわがままを言おうと、同情とともに受け取ってくれる。お調子者のやさしい性格なのが、今までのやり取りから伝わってきた。
「聖女様! 今日はご希望のアレをお持ちしましたよ!」
「ご希望のアレ?」
見やると連れられたベッティが、大きなクマの縫いぐるみを抱えていた。
「アルフレート!」
受け取って抱きしめる。茶色のもふもふに顔をうずめた。
「あら? でもこの子、アルフレートじゃないわ……」
よく見ると顔つきが微妙に違う。アルフレートは真っ赤なリボンを首に巻いているが、目の前のクマは青いリボンをつけていた。
「すみません、さすがに貴族の屋敷からは持ち出せなくて……」
しゅんとするリーゼロッテを見て、オスカーがすまなそうに言った。
「いいえ、それでもわたくしうれしいですわ」
縫いぐるみを高々と持ち上げて、リーゼロッテは狭い部屋の中くるくると回った。スカートの裾がふわりと舞って、オスカーの目がその動きを追っていく。
「ありがとうございます、オスカー様!」
頬を染めて見上げると、ぽーっとしたままオスカーは鍵の束を手落とした。我に返ると、慌てて扉を閉めて鍵をかける。リーゼロッテが逃げ出さないのをいいことに、対応がだんだんゆるゆるとなっていた。
(ミッションその四。油断させるべし)
ここ数日、リーゼロッテは薬草入りの食事を完食していることになっている。食べているのはベッティなのだが、神官たちは薬が効いていると思っていることだろう。
「ふふ、あなたはアルフレート二世よ。これからよろしくね?」
リーゼロッテは今年で十七歳になる。そんな歳で縫いぐるみに語りかけるのもアレな話だが、今は薬が効いている聖女様の設定だ。今夜から一緒に寝ましょうね。恥ずかしげもなくそう言って、アルフレート二世のつぶらな瞳と見つめ合った。