宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
黒幕の特徴を参考までに聞いた時、カイはいけ好かない奴だと言った。カイがいちばん嫌いそうなタイプを探し回った結果、最終的に辿り着いたのがレミュリオだ。ベッティは直接会ったことはないが、聞く限りではレミュリオは神官の鑑のようなよくできた人物らしい。
そんな奴を相手にしたら、リーゼロッテなど簡単に絆されてしまいそうだ。だが持ち前の運の良さを発揮して、あっさりと事なきを得てしまうような気もしてくる。
(そろそろ戻るとしましょうかぁ)
このままでは本当に死にかねない。しもやけで感覚のなくなった赤い指先を見やり、ベッティはどうにかこうにか身を起こした。媚薬もだいぶ抜けてきたようだ。これなら部屋に戻っても大丈夫だろう。
ふと鼻をついた嗅ぎ慣れない匂いに、ベッティは眉をひそめた。嗅ぎ慣れはしないが、確かに嗅いだことはある。まさに今日痛い目に合った、元凶と言える物の匂いだった。
風に乗って薫ってくるそれを、慎重にベッティは辿っていった。進むにつれてその匂いがどんどん濃くなっていく。
「これは……」
雪山をかき分けた先、目の前がいきなり大きく開けた。雪にうずもれた森の真ん中に、青々とした畑が広がっている。
極寒の時期に青菜が茂ることに目を疑うが、その畑の中だけ一ミリも雪が積もっていなかった。近づくと毒にも思える清浄な神気が、ベッティの肌をチリチリと焼きつけてくる。
「もしかしてぇ、ここが今問題になってる媚薬の出所ですかぁ……?」
先ほど厄介になったばかりの独特の香りが、辺り一帯に充満している。この植物から違法の媚薬を精製しているのだろう。これ以上酔わないようにと、ベッティは鼻元に布をあてた。
媚薬の入手ルートが神殿ならば、不審がられることはない。敬虔な信者の皮を被って、お布施片手に祈りを捧げに行けばいいのだから。
「カイ坊ちゃまぁ、これはとんだ大物、引き当てたようですよぅ」
そんな奴を相手にしたら、リーゼロッテなど簡単に絆されてしまいそうだ。だが持ち前の運の良さを発揮して、あっさりと事なきを得てしまうような気もしてくる。
(そろそろ戻るとしましょうかぁ)
このままでは本当に死にかねない。しもやけで感覚のなくなった赤い指先を見やり、ベッティはどうにかこうにか身を起こした。媚薬もだいぶ抜けてきたようだ。これなら部屋に戻っても大丈夫だろう。
ふと鼻をついた嗅ぎ慣れない匂いに、ベッティは眉をひそめた。嗅ぎ慣れはしないが、確かに嗅いだことはある。まさに今日痛い目に合った、元凶と言える物の匂いだった。
風に乗って薫ってくるそれを、慎重にベッティは辿っていった。進むにつれてその匂いがどんどん濃くなっていく。
「これは……」
雪山をかき分けた先、目の前がいきなり大きく開けた。雪にうずもれた森の真ん中に、青々とした畑が広がっている。
極寒の時期に青菜が茂ることに目を疑うが、その畑の中だけ一ミリも雪が積もっていなかった。近づくと毒にも思える清浄な神気が、ベッティの肌をチリチリと焼きつけてくる。
「もしかしてぇ、ここが今問題になってる媚薬の出所ですかぁ……?」
先ほど厄介になったばかりの独特の香りが、辺り一帯に充満している。この植物から違法の媚薬を精製しているのだろう。これ以上酔わないようにと、ベッティは鼻元に布をあてた。
媚薬の入手ルートが神殿ならば、不審がられることはない。敬虔な信者の皮を被って、お布施片手に祈りを捧げに行けばいいのだから。
「カイ坊ちゃまぁ、これはとんだ大物、引き当てたようですよぅ」