宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
 伏し目がちに答えてから、リーゼロッテははっと顔を上げた。神官長の後ろに若い神官がいる。長い銀髪の青年だ。
 その整った顔をした神官は、瞳を閉じた状態だった。それなのに刺すような、そんな冷たい視線を強く感じた。

「こちらはレミュリオと申します。まだ若いですが、いずれわたしの後継にと考えております」
「レミュリオでございます。以後、お見知りおきのほどを。ですがわたしは瞳の光を失って久しい身。神官長のご期待にそえるかどうか」

 そう言ってレミュリオは、リーゼロッテに向けて薄く笑みを()いた。
 ぞくりと背筋に悪寒が走る。女性と見間違えるような美貌の青年だ。それなのに蛇のごとくに絡みつく(いわ)れのない恐怖を感じて、リーゼロッテはその身を(すく)ませた。

「大丈夫か?」

 ジークヴァルトに抱き寄せられ、はっと我に返る。青の瞳に見つめられ、安堵で力が抜けそうになった。

「お疲れのところお引止めして失礼しました。ここは王城よりお寒いでしょう。どうぞご自愛ください。おふたりに青龍の加護があらんことを」
「ではこれで失礼する」

 ジークヴァルトに連れられて、神殿を後にする。しばらくの間、背中にあの視線を感じて、リーゼロッテは逃げるように歩を進めた。

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