宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
「ふざけてなどおりません。リーゼロッテ様を取り戻すために、騎士団との連携は必須。アデライーデ様の動きが封じられている今、エーミール様のお力が必要なのです」
「わたしの力が……?」
「騎士団とのパイプ役は重要であり、その分危険を伴います。それを任せられるような優秀で信頼のおける人間など、そうは見つかりません」
「それがわたしだと言いたいのか?」
「わたしの知る限り、エーミール様以外に適任者はおられません。どうか旦那様のため、エーミール様のお力を公爵家にお貸しください」
マテアスは深く頭を下げた。きっちりと腰を折り、エーミールの返答を待つ。
「……いいだろう、騎士団に入団してやる。ただし貴様に言われたから行くのではない。すべてはジークヴァルト様のためだ」
「もちろんでございます。エーミール様のご決断に心より感謝いたします」
マテアスの言葉を聞く前に、エーミールは去っていった。ああ見えてエーミールは努力家だ。やるときはやってくれると信じられた。
(これで少しは状況が開けるか……)
騎士団は神殿へ踏み込むタイミングを伺っている。その時が来るまでもっと情報を集めなければ。ガセネタを掴まされると判断を見誤る。ありとあらゆる事態を想定して、備えなくてはならなかった。
策略を巡らせて、気づけば日付が変わろうとしている。エラから預かった包みを抱えて、マテアスは執務室へと向かった。
「わたしの力が……?」
「騎士団とのパイプ役は重要であり、その分危険を伴います。それを任せられるような優秀で信頼のおける人間など、そうは見つかりません」
「それがわたしだと言いたいのか?」
「わたしの知る限り、エーミール様以外に適任者はおられません。どうか旦那様のため、エーミール様のお力を公爵家にお貸しください」
マテアスは深く頭を下げた。きっちりと腰を折り、エーミールの返答を待つ。
「……いいだろう、騎士団に入団してやる。ただし貴様に言われたから行くのではない。すべてはジークヴァルト様のためだ」
「もちろんでございます。エーミール様のご決断に心より感謝いたします」
マテアスの言葉を聞く前に、エーミールは去っていった。ああ見えてエーミールは努力家だ。やるときはやってくれると信じられた。
(これで少しは状況が開けるか……)
騎士団は神殿へ踏み込むタイミングを伺っている。その時が来るまでもっと情報を集めなければ。ガセネタを掴まされると判断を見誤る。ありとあらゆる事態を想定して、備えなくてはならなかった。
策略を巡らせて、気づけば日付が変わろうとしている。エラから預かった包みを抱えて、マテアスは執務室へと向かった。