宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
     ◇
(そろそろ限界かもですねぇ)

 食べられそうな自生の植物を何とか探し当て、ベッティは雪道を急いだ。少しでも栄養のあるものを口にしなければ、いざという時に逃げ切れない。

 リーゼロッテの言うように、一旦情報を持ち帰ることも考えた。しかしその間に別の場所に移されでもしたら、彼女の行方が分からなくなる。それでなくともベッティは、一度不審な動きを取ってしまった。薬草畑に続く方面には、あれ以来、人が配置されるようになった。

 この奥まった場所には、全くというほど外の情報が入ってこない。ここに(とど)まったままでいるのは、リーゼロッテと共倒れする可能性も十分あった。

(あの鳥は……)
 白みかけた上空に、二羽の(たか)が旋回している。あれはバルバナス所有の聖獣(せいじゅう)だ。アデライーデに下げ渡されて、もっぱら彼女が使役していると聞いていた。

 騎士団が動き出している――

 ベッティの飛ばした風船が無事に届いたのかもしれない。媚薬の存在が騎士団に伝われば、バルバナスは黙っていないだろう。リーゼロッテを連れ出すのなら、騎士団が神殿に踏み込む時が絶好の機会だ。

 初動の遅れは命とりとなる。神殿内の些細な動きも逃してはならない。いつ何が起きてもいいようにと、ベッティは覚悟を決めた。

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