宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
     ◇
「エーミール様ぁ! 騎士団に来てくれてめちゃ感激っす!」

 扉が開かれるなりニコラウスはエーミールに飛びついた。虫けらを見る視線であっさり(かわ)され、そのまま横を素通りされる。

「やぁ、グレーデン殿。思ってた通りその騎士服、よく似合ってるね」
「もう、絶対に令嬢たちにモテモテっすよね。ホントうらやましい」
「なぜ()()の貴様がここにいる」

 ひらひらと手を振るカイを認めると、エーミールは部屋の半ばで足を止めた。ニコラウスの台詞は完全無視だ。

「やだなぁ、オレも王城騎士なんだって。顔合わすくらいは勘弁してよ」

 このふたりはあまり仲がよろしくないらしい。(はた)から見ている限りでは、エーミールが一方的に突っかかっているだけのように思える。

「その忌み児ってなんなんすか? エーミール様、前にも言ってましたよね」
「はは、それ聞いちゃうんだ? ブラル伯爵家は王家の血が入ってなかったよね。知らなくて当然だ」
「って言うと託宣がらみですか?」

 軽く肩を(すく)めながら「まぁ、そういう事」と、カイはそこで話を終わらせた。

(聞いちゃなんないことだったかな……)

 ニコは空気が読めないとアデライーデによく言われるが、自分では気を使いまくりのムードメーカーだと思っている。ぎすぎすした雰囲気が正直苦手だ。場を(なご)ませようと、ついふざけた態度を取ってしまう。

「エーミール様、とりあえず王城を案内しますよ。神殿方面の区画はあんまり行ったことがないと思うので」
「だったらオレが行こうかな? 王城内はオレの方が詳しいし」
「なぜ貴様などに……」
「グレーデン殿はオレについてた方が動きやすいと思うよ?」
「どういう意味だ」

 睨みつけるエーミールに、カイは朗らかな笑顔を返した。

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