宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
「グレーデン殿だって、バルバナス様の命令に面と向かって逆らえないでしょ? 騎士団の目的はあくまで媚薬の捜査だから、いざという時ジークヴァルト様の役に立たないんじゃないかな?」

 カイの言葉にエーミールは口をつぐんだ。神殿に踏み込んだ際、媚薬の調査を優先させるように言われたら、騎士団員となったエーミールはそれに従わざるを得ない。
 その点、王城騎士は騎士でも、カイはハインリヒ王直属だ。騎士団長であるバルバナスの配下で動いているわけではなかった。

「リーゼロッテ嬢を取り戻したいんだったら、オレといた方がいいと思うけど。あ、ブラル殿、これ聞かなかったことにしといてね?」
「いやぁ、まぁ、アデライーデに情報を回すのを許してるのはバルバナス様なんで、別にいいっすよ」
「はは、ここはアデライーデ様に甘いね」

 エーミールが突然騎士団に入った理由は、ニコラウスにも分かっていた。表沙汰にはなっていないが、行方不明となった妖精姫を、フーゲンベルク家が躍起(やっき)になって探しているのも知っている。
 あの可憐な妖精姫の安否に心が痛む。だがニコラウスはもっと身近で重大な悩みを抱えていた。

 アデライーデが公爵家に行ってからというもの、バルバナスの機嫌がむちゃくちゃ悪い。当たりまくられるし、アデライーデの代わりにそばにいるランプレヒトはどこ吹く風だ。
 結局はニコラウスが集中砲火を受けて、身もココロも疲弊しまくっている。

(アデライーデ……早くもどってきてくれ……)

 早くこの状況を、何とかしたいニコラウスだった。

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