宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
「先に話を振ってきたのは貴様だろう」
「それはそうなんだけどさ」
エーミールはこういう任務に向いてないと言うのが、カイの率直な感想だった。騎士団が神殿へと踏み込んだとき、公爵家はそれに便乗するつもりでいるはずだ。彼が果たすべき役割は、騎士団の情報を公爵家に迅速に伝えることにある。
「グレーデン殿はもう少し自分の役目を考えた方がいいと思うよ?」
「貴様に言われずとも、そんなことは承知している」
「そう? ならいいんだけど」
自分でリーゼロッテを救い出す気満々に見えるエーミールを、カイは早急に見放した。公爵家に恩を売るためにある程度は協力するが、任務の邪魔になるなら切り捨てるまでだった。
何かを言いかけたエーミールを無視して、カイは人の近づく気配に振り返った。こちらにやってくるふたりの神官に、リープリングがうすく唸り声を上げる。
「やあ、レミュリオ殿、お勤め帰りかな?」
「これはカイ・デルプフェルト様、お会いするのは久方ぶりですね。このような場所でどうなさったのですか?」
「新人をあちこち案内してたところだよ」
「あなたは……確か、エーミール・グレーデン様でいらっしゃいましたね」
「そうだが。なぜわたしの名を知っている」
不信な目つきをエーミールが向けると、レミュリオは閉じた瞳のまま笑みを浮かべた。
「貴族のご婦人方から、よくお話を伺っていますから」
「グレーデン殿はご婦人に大人気だからね」
そんな会話を前に、もうひとりの神官はずっと不機嫌そうに押し黙っている。神殿の入り口で立ち話をしていたカイとエーミールを、不信の目で見やっていた。
「そちらは次の神官長候補と名高いヨーゼフ殿だね」
「忌み児であるあなたにそんな媚びを売られても、うれしくとも何ともないですが……まぁ事実だから仕方ないですね」
汚い物を見る目をカイに向けている割に、まんざらでもないといった感じでヨーゼフは返した。リープリングの鼻先のしわが深まって、今にもとびかかりそうな雰囲気だ。
「それはそうなんだけどさ」
エーミールはこういう任務に向いてないと言うのが、カイの率直な感想だった。騎士団が神殿へと踏み込んだとき、公爵家はそれに便乗するつもりでいるはずだ。彼が果たすべき役割は、騎士団の情報を公爵家に迅速に伝えることにある。
「グレーデン殿はもう少し自分の役目を考えた方がいいと思うよ?」
「貴様に言われずとも、そんなことは承知している」
「そう? ならいいんだけど」
自分でリーゼロッテを救い出す気満々に見えるエーミールを、カイは早急に見放した。公爵家に恩を売るためにある程度は協力するが、任務の邪魔になるなら切り捨てるまでだった。
何かを言いかけたエーミールを無視して、カイは人の近づく気配に振り返った。こちらにやってくるふたりの神官に、リープリングがうすく唸り声を上げる。
「やあ、レミュリオ殿、お勤め帰りかな?」
「これはカイ・デルプフェルト様、お会いするのは久方ぶりですね。このような場所でどうなさったのですか?」
「新人をあちこち案内してたところだよ」
「あなたは……確か、エーミール・グレーデン様でいらっしゃいましたね」
「そうだが。なぜわたしの名を知っている」
不信な目つきをエーミールが向けると、レミュリオは閉じた瞳のまま笑みを浮かべた。
「貴族のご婦人方から、よくお話を伺っていますから」
「グレーデン殿はご婦人に大人気だからね」
そんな会話を前に、もうひとりの神官はずっと不機嫌そうに押し黙っている。神殿の入り口で立ち話をしていたカイとエーミールを、不信の目で見やっていた。
「そちらは次の神官長候補と名高いヨーゼフ殿だね」
「忌み児であるあなたにそんな媚びを売られても、うれしくとも何ともないですが……まぁ事実だから仕方ないですね」
汚い物を見る目をカイに向けている割に、まんざらでもないといった感じでヨーゼフは返した。リープリングの鼻先のしわが深まって、今にもとびかかりそうな雰囲気だ。