宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
 バルバナスの怒気だけでそこら中の異形が祓われていく。道を切り開きながら進む後ろ姿を、ニコラウスとエーミールは慌てて追いかけた。

「あまりにもタイミング良すぎるんだよ」
「タイミングっすか?」
「ガサ入れ決定の直後に異形の者が騒ぎ出すなんざ、都合がよすぎるってもんだろう?」

 前を行くバルバナスは完全に騎士団長モードだ。バルバナスがこの状態のとき、超ハードな任務が待ち構えていることを、ニコラウスは経験上知っていた。

「騎士団はこれから神殿へと突入する。野郎ども、心してかかれよ!」
「えええっ! でも準備が全然まだ……!」
「オレの勘が今行けっつってんだ、つべこべ言わずについて来い! 各自の役割分担、忘れるんじゃねえぞ!」

 再招集された騎士たちが、勇み足で神殿入り口へと向かっていく。その背中を見送って、エーミールはその場にぽつんと取り残された。

「はは、バルバナス様にしてやられたね」

 気づくと隣に犬を連れたカイが立っている。

「いいの? オレは行くけど、このままじゃジークヴァルト様、間に合わないよ?」

 はっとして時刻を確かめる。間もなく日没を迎える頃だ。エーミールは神殿とは反対方向に足を向けた。

「わたしもすぐに後を追う! 貴様は先に行っていろ」
「了解。健闘を祈るよ」

 ひらひらと手を振るカイと尾を振るリープリングを置いて、エーミールは急ぎ王城の庭に出た。

「ギリギリ間に合うか……!」

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