宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
「くそ、どちらだ……?」
「あっ犬が」
右の小路の先の暗がりで、リープリングが尾を振っている。エーミールと目が合うと、リープリングは長い体を翻した。
「あっちだ」
見失わないようにその背を追いかける。程なくして大木の根元で屈みこんでいるカイの姿が目に入った。
「デルプフェルト様? そんなとこで何やってんすか?」
「うん、ちょっとね」
「なんだそれは。暗号……いや、道しるべか?」
雪をかき分けた幹に、幾筋かの傷がついている。カイは小道を外れ、他の木の根元を次から次に確認していった。目印のついた木を渡り、道なき道を進んでいく。そんなことを繰り返すうちに、手掛かりの木が見当たらなくなった。月明かりもない場所で行き詰ったカイは、確認する手を止め立ち上がった。
「これ以上は難しいか……」
「貴様は一体何を探しているんだ?」
「それも分からず、ここまでついて来たの?」
「貴様がそばにいろと言ったんだろう」
「あーうん、そういやそうだったね」
気のない言葉をエーミールに返したカイは、取り出した布切れをリープリングの鼻先に近づける。しばしふんふんと鼻を動かしていたリープリングが、激しく尾を振り瞳を輝かせた。
「ベッティのにおいだよ。いける? リープリング」
ふんとひとつ鼻息を吐くと、リープリングは音を立てずに動きだした。最後に見つけた目印の木を嗅いで、次いで周囲のにおいを嗅ぎまわる。積もった雪に苦戦しつつも、リープリングはゆっくりとにおいを辿っていった。
木々を縫って、三人は辛抱強くその後をついていく。来た道も分からなくなるくらい進んだ頃、遠くに明かりの漏れる建物が現れた。離れと言うには神殿から遠すぎる。まさに隠れ家といった建物だ。
「ビンゴだ。リープリング、お手柄だよ」
カイが頭をなでると、リープリングの尾が激しく振れた。
「あっ犬が」
右の小路の先の暗がりで、リープリングが尾を振っている。エーミールと目が合うと、リープリングは長い体を翻した。
「あっちだ」
見失わないようにその背を追いかける。程なくして大木の根元で屈みこんでいるカイの姿が目に入った。
「デルプフェルト様? そんなとこで何やってんすか?」
「うん、ちょっとね」
「なんだそれは。暗号……いや、道しるべか?」
雪をかき分けた幹に、幾筋かの傷がついている。カイは小道を外れ、他の木の根元を次から次に確認していった。目印のついた木を渡り、道なき道を進んでいく。そんなことを繰り返すうちに、手掛かりの木が見当たらなくなった。月明かりもない場所で行き詰ったカイは、確認する手を止め立ち上がった。
「これ以上は難しいか……」
「貴様は一体何を探しているんだ?」
「それも分からず、ここまでついて来たの?」
「貴様がそばにいろと言ったんだろう」
「あーうん、そういやそうだったね」
気のない言葉をエーミールに返したカイは、取り出した布切れをリープリングの鼻先に近づける。しばしふんふんと鼻を動かしていたリープリングが、激しく尾を振り瞳を輝かせた。
「ベッティのにおいだよ。いける? リープリング」
ふんとひとつ鼻息を吐くと、リープリングは音を立てずに動きだした。最後に見つけた目印の木を嗅いで、次いで周囲のにおいを嗅ぎまわる。積もった雪に苦戦しつつも、リープリングはゆっくりとにおいを辿っていった。
木々を縫って、三人は辛抱強くその後をついていく。来た道も分からなくなるくらい進んだ頃、遠くに明かりの漏れる建物が現れた。離れと言うには神殿から遠すぎる。まさに隠れ家といった建物だ。
「ビンゴだ。リープリング、お手柄だよ」
カイが頭をなでると、リープリングの尾が激しく振れた。