宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
「やっぱりお前は誰だ? 名を名乗れ」
 裏腹にエーミールへの疑惑が深まっていく。神官たちの視線が集まり口ごもっていると、ニコラウスが慌てて間に割って入った。

「こいつは新人です! このオスカーがバッチリ保証しますので」
「新人? そんな話は我らの青龍からは聞いていないが」
「我らの青龍?」
「ん? オスカー、お前後ろに何を隠している?」

 神官たちが注目した先、本物のオスカーの足が柱から覗いている。ニコラウスが隠すように立ち位置を変えた瞬間、ロープで簀巻(すま)きにされた体がこちらに倒れてきた。

「あれはオスカー!?」
「貴様ら何者だ!」

 神官たちが色めき立ったとき、すでに三人は動き出していた。
 ニコラウスが目の前の神官にボディブローを決め、カイは小柄な神官の首筋に手刀を落とす。エーミールが剣の束(つか)で残りのふたりの鳩尾を流れるように突き、あっという間に四人を昏倒させた。

「急ごう。恐らくリーゼロッテ嬢はその隠し扉の先にいる」

 カイの言葉に緊張が走る。一向は急ぎ扉の中へと向かった。

 暗がりの通路を抜け、突き当りの扉から再び廊下に出る。部屋もなくただ廊下が伸びていた。もう夜半の時刻だ。薄暗い廊下を進むと、その先に開け放たれた扉から明かりが漏れているのが見えてきた。

「リーゼロッテ様……!」

 カイを押しのけ、エーミールが我先にと部屋の中に入った。それに続いてニコラウスとカイも足を踏み入れる。

「誰もいない……?」

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