宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
「ダーミッシュ伯爵令嬢様、まずはお召し替えをしていただきます」
「え? 今から着替えるの?」
待っていた女官たちの言葉に、リーゼロッテは目を丸くした。今日はフーゲンベルク家できちんと盛装をしてきた。王城に上がるにふさわしい装いだ。
「アンネマリー王太子妃殿下が伯爵令嬢様にとドレスをご用意されました。それをお召しになって晩餐に参加するよう仰せつかっております」
アンネマリーが気をきかせてくれたのかもしれない。そういうことならとリーゼロッテは素直に女官の指示に従うことにした。
髪を結い直してから晩餐用のドレスに着替えさせられる。鏡に映った自分の姿に、リーゼロッテは目を泳がせた。
「これはちょっと肌が出すぎなのではないかしら……」
「とてもお似合いでございます」
いわゆるイブニングドレスというやつなのだろう。女官たちに力強く言われたものの、むき出しになった肩と胸元が心もとなくて、リーゼロッテは隠すように思わず自分の体を抱きしめた。
今まで着たことがないマーメードラインのシックなドレスだ。背中も大きく開いていて、なんだかすごくすーすーする。最近は胸が育ってきたせいか、詰め物も相まって、できた谷間がやけに強調されていた。
「そちらは一点もののドレスでございますが、王妃殿下が手掛ける中でも、若いご夫人に人気のブランドとなっております」
未婚の令嬢というより、既婚者向けブランドということか。しかし自分のために作らせたオートクチュールとあっては、リーゼロッテは着替えたいとは言い出せなかった。
せめて上に羽織るものをとお願いしたが、あっさりと笑顔で却下された。そうこうしているうちに、心づもりができないまま、女官がジークヴァルトを部屋に招き入れてしまった。
入ってくるなりジークヴァルトはその目を大きくかっぴらいた。それからひと言も発さずに、じっとこちらを見続けている。
「あの……その、お待たせいたしました」
居たたまれなくなって、やっとの思いでそう口にする。はっと我に返った様子で、ジークヴァルトはすいと顔を逸らした。
(やっぱり似合ってないんだわっ)
自分でも子供が背伸びをしたような格好だと分かっている。涙目になってリーゼロッテは唇を小さく噛みしめた。
差し伸べられた手を取って部屋を出る。それ以降ジークヴァルトは、ちらりともこちらを見てこない。心の中でアンネマリーを恨みながら、リーゼロッテは通された晩餐の席へと着いたのだった。
「え? 今から着替えるの?」
待っていた女官たちの言葉に、リーゼロッテは目を丸くした。今日はフーゲンベルク家できちんと盛装をしてきた。王城に上がるにふさわしい装いだ。
「アンネマリー王太子妃殿下が伯爵令嬢様にとドレスをご用意されました。それをお召しになって晩餐に参加するよう仰せつかっております」
アンネマリーが気をきかせてくれたのかもしれない。そういうことならとリーゼロッテは素直に女官の指示に従うことにした。
髪を結い直してから晩餐用のドレスに着替えさせられる。鏡に映った自分の姿に、リーゼロッテは目を泳がせた。
「これはちょっと肌が出すぎなのではないかしら……」
「とてもお似合いでございます」
いわゆるイブニングドレスというやつなのだろう。女官たちに力強く言われたものの、むき出しになった肩と胸元が心もとなくて、リーゼロッテは隠すように思わず自分の体を抱きしめた。
今まで着たことがないマーメードラインのシックなドレスだ。背中も大きく開いていて、なんだかすごくすーすーする。最近は胸が育ってきたせいか、詰め物も相まって、できた谷間がやけに強調されていた。
「そちらは一点もののドレスでございますが、王妃殿下が手掛ける中でも、若いご夫人に人気のブランドとなっております」
未婚の令嬢というより、既婚者向けブランドということか。しかし自分のために作らせたオートクチュールとあっては、リーゼロッテは着替えたいとは言い出せなかった。
せめて上に羽織るものをとお願いしたが、あっさりと笑顔で却下された。そうこうしているうちに、心づもりができないまま、女官がジークヴァルトを部屋に招き入れてしまった。
入ってくるなりジークヴァルトはその目を大きくかっぴらいた。それからひと言も発さずに、じっとこちらを見続けている。
「あの……その、お待たせいたしました」
居たたまれなくなって、やっとの思いでそう口にする。はっと我に返った様子で、ジークヴァルトはすいと顔を逸らした。
(やっぱり似合ってないんだわっ)
自分でも子供が背伸びをしたような格好だと分かっている。涙目になってリーゼロッテは唇を小さく噛みしめた。
差し伸べられた手を取って部屋を出る。それ以降ジークヴァルトは、ちらりともこちらを見てこない。心の中でアンネマリーを恨みながら、リーゼロッテは通された晩餐の席へと着いたのだった。