宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
「医療班! 大事な証言者だ、絶対に死なすんじゃねぇぞ!」

 瀕死のベッティを一瞥(いちべつ)して、バルバナスが後方に怒鳴りつけた。去っていくカイの後を、医療に()けた者が慌てて追っていく。

「そこの雪ん下は媚薬畑のあった場所だ! 見失わねぇよう目印つけとけ! 日が昇ったら調査すんぞ! ニコラウスの言ってた建物は第二班に向かわせろ! そこにいる神官たちは別室に閉じ込めとけ!」

 指示通りに騎士たちが動いていく。バルバナスは最後に、エーミールたちに目を止めた。

「おい、新入り。川沿いの捜索にも人員を()いてやる。指揮はニコラウス、いや、アデライーデ、お前が取れ」

 それだけ言うとバルバナスは畑の方に向かった。入れ替わりのようにアデライーデが現れる。

「ちょっとエーミール。マテアスまで……ジークヴァルトはどうしたのよ?」
「それが神殿に入るなり異形の者に襲われまして……」
「神殿にも? いきなり王城に呼び戻されたと思ったら、暴れ出した異形の対処を命じられるわ、バルバナス様はさっさと行っちゃうわで、ほんともう散々だったわ」
「とにかくリーゼロッテ様の安否が心配です。逃がすとしたら王城側でしょう。そちらの方から捜索を」
「そうね。先にジークヴァルトと出会えてるといいんだけど」

 白みかけてきた空を見上げて、一同は急ぎ捜索に向かった。

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