宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
会場を見回すと、白系の清楚なドレスを着る令嬢が幾人も目に入った。
「本当、エラが言っていたように白いドレスの方が多いみたいね」
「若いご令嬢の間ではシンプルなドレスが流行っているようですね。あと、あちらのようなハンドチェーンが」
エラの視線の先に、指なしの手袋のような飾りをつけた夫人がいた。手の甲を覆うチェーンにはいくつも輝石が飾られ、動くたびにシャンデリアの光を美しく反射する。
「まあ、素敵な装飾ね!」
「あちらはクリスティーナ王女殿下がよくつけていらっしゃるそうで、今年の春くらいから流行り出したようです」
クリスティーナはこの国の第一王女だ。体が弱くて、滅多に姿を現さないことで知られている。
「わたくし、クリスティーナ王女殿下のお姿は一度もお見かけしたことがないわ」
「今年はたびたび公務に参加されていたそうですよ。お会いした方たちの噂話をよく耳にします」
「そうなのね。王太子殿下のお姉様だし、きっとお美しい方なのでしょうね」
そんな会話をしているうちに、王妃登場の知らせが届いた。再びジークヴァルトと並び立つ。今日のリーゼロッテの装いは、十六歳という年齢にふさわしい可憐で可愛らしいドレスだ。
昨日アンネマリーに用意されたシックなドレスは、自分にはまだまだ似合そうにない。昨日のジークヴァルトの反応を見てもそれは明らかだ。はっきりと口には出されたわけではないが、そこはそれジークヴァルトのやさしさだろう。
だが馬子にも衣裳にすらならなかったのかと思うと、リーゼロッテはなんだか悲しくなってしまった。
(それでも胸は大分育ってきたもの)
最近では胸を盛る詰め物の量も減らしてもらっている。過剰に盛りすぎるのは諸刃の剣だ。初夜を迎えいざ出陣となった時に、「あれ? なんか思ってたのと違う」などとジークヴァルトに言われでもしたら、一体どうすればいいというのだ。
結局リーゼロッテがいきついた答えは、バストアップに励みつつも、ジークヴァルトには小胸に日々見慣れてもらおうというものだった。
(盛りすぎは厳禁ね。見栄を張っても虚しいだけだし……)
隣にいるジークヴァルトの顔を見上げ、バストアップだけはサボらないようにしようとリーゼロッテはひとり頷いた。
「本当、エラが言っていたように白いドレスの方が多いみたいね」
「若いご令嬢の間ではシンプルなドレスが流行っているようですね。あと、あちらのようなハンドチェーンが」
エラの視線の先に、指なしの手袋のような飾りをつけた夫人がいた。手の甲を覆うチェーンにはいくつも輝石が飾られ、動くたびにシャンデリアの光を美しく反射する。
「まあ、素敵な装飾ね!」
「あちらはクリスティーナ王女殿下がよくつけていらっしゃるそうで、今年の春くらいから流行り出したようです」
クリスティーナはこの国の第一王女だ。体が弱くて、滅多に姿を現さないことで知られている。
「わたくし、クリスティーナ王女殿下のお姿は一度もお見かけしたことがないわ」
「今年はたびたび公務に参加されていたそうですよ。お会いした方たちの噂話をよく耳にします」
「そうなのね。王太子殿下のお姉様だし、きっとお美しい方なのでしょうね」
そんな会話をしているうちに、王妃登場の知らせが届いた。再びジークヴァルトと並び立つ。今日のリーゼロッテの装いは、十六歳という年齢にふさわしい可憐で可愛らしいドレスだ。
昨日アンネマリーに用意されたシックなドレスは、自分にはまだまだ似合そうにない。昨日のジークヴァルトの反応を見てもそれは明らかだ。はっきりと口には出されたわけではないが、そこはそれジークヴァルトのやさしさだろう。
だが馬子にも衣裳にすらならなかったのかと思うと、リーゼロッテはなんだか悲しくなってしまった。
(それでも胸は大分育ってきたもの)
最近では胸を盛る詰め物の量も減らしてもらっている。過剰に盛りすぎるのは諸刃の剣だ。初夜を迎えいざ出陣となった時に、「あれ? なんか思ってたのと違う」などとジークヴァルトに言われでもしたら、一体どうすればいいというのだ。
結局リーゼロッテがいきついた答えは、バストアップに励みつつも、ジークヴァルトには小胸に日々見慣れてもらおうというものだった。
(盛りすぎは厳禁ね。見栄を張っても虚しいだけだし……)
隣にいるジークヴァルトの顔を見上げ、バストアップだけはサボらないようにしようとリーゼロッテはひとり頷いた。