宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
◇
ようやく座ることができて、リーゼロッテは大きく息をついた。手渡された果実水をひと口含む。
「疲れたか?」
「いえ、ジークヴァルト様とたくさん踊れてうれしかったですわ」
はにかむ笑顔を向けると、ジークヴァルトは「そうか」と言って乱れた前髪を、そっと指で整えてきた。三曲連続で踊るのは息が上がったが、それ以上にしあわせすぎて、この時間がずっと続けばいいのにと思ったくらいだ。
ジークヴァルトの手が小さな焼き菓子に伸ばされかけた。はっとなって思わずその袖を掴む。
「夜会であーんは駄目ですわよ」
一瞬だけ動きを止めたジークヴァルトは、取り皿にいくつか菓子をのせると、それを手渡してきた。どれもリーゼロッテが食べてみたいと思ったものだ。テーブルをチラ見しただけだったが、一瞬で的確に判断したのだと思うと、ジークヴァルトの動体視力、恐るべしだ。
「美味しいですわ」
「そうか」
遠慮なく菓子を口に運ぶと、ジークヴァルトの目がわずかに細められた。そのままじっと見つめられ、急に恥ずかしくなってくる。
「食べているところを、そんなふうに見ないでくださいませ」
「別に減るものではないだろう」
「減らずとも、なんだか恥ずかしいですわ」
「いや、オレはまったく恥ずかしくない」
ふっと笑って前髪に指をくぐらせてくる。そんなジークヴァルトにリーゼロッテは真っ赤になった。
「相変わらずお熱いですこと」
「こら、ヤスミン。公爵に失礼だぞ」
「ヤスミン様!? キュプカー侯爵様も……」
そこにいたのはキュプカー侯爵父娘だった。キュプカーは王城騎士の花形、近衛第一隊の隊長だ。ジークヴァルトの上官でもある。
ようやく座ることができて、リーゼロッテは大きく息をついた。手渡された果実水をひと口含む。
「疲れたか?」
「いえ、ジークヴァルト様とたくさん踊れてうれしかったですわ」
はにかむ笑顔を向けると、ジークヴァルトは「そうか」と言って乱れた前髪を、そっと指で整えてきた。三曲連続で踊るのは息が上がったが、それ以上にしあわせすぎて、この時間がずっと続けばいいのにと思ったくらいだ。
ジークヴァルトの手が小さな焼き菓子に伸ばされかけた。はっとなって思わずその袖を掴む。
「夜会であーんは駄目ですわよ」
一瞬だけ動きを止めたジークヴァルトは、取り皿にいくつか菓子をのせると、それを手渡してきた。どれもリーゼロッテが食べてみたいと思ったものだ。テーブルをチラ見しただけだったが、一瞬で的確に判断したのだと思うと、ジークヴァルトの動体視力、恐るべしだ。
「美味しいですわ」
「そうか」
遠慮なく菓子を口に運ぶと、ジークヴァルトの目がわずかに細められた。そのままじっと見つめられ、急に恥ずかしくなってくる。
「食べているところを、そんなふうに見ないでくださいませ」
「別に減るものではないだろう」
「減らずとも、なんだか恥ずかしいですわ」
「いや、オレはまったく恥ずかしくない」
ふっと笑って前髪に指をくぐらせてくる。そんなジークヴァルトにリーゼロッテは真っ赤になった。
「相変わらずお熱いですこと」
「こら、ヤスミン。公爵に失礼だぞ」
「ヤスミン様!? キュプカー侯爵様も……」
そこにいたのはキュプカー侯爵父娘だった。キュプカーは王城騎士の花形、近衛第一隊の隊長だ。ジークヴァルトの上官でもある。