宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
 挨拶の列はまだ続いているが、公爵であるジークヴァルトは優先的に通される。便乗してごめんなさいと心で謝りつつ、リーゼロッテは当然の顔つきで王と王妃の前に立った。久々に近くで見る王妃は、今日も超絶美人だ。

「夕べはたのしめたかしら?」

 祝いの言葉を述べた後、逆に王妃に聞き返される。昨日はハインリヒ王子の晩餐(ばんさん)に呼ばれて、アンネマリーとおしゃべりを存分にたのしんだ。気兼ねなく話ができたのは、本当に久しぶりのことだ。

「はい、王太子妃殿下ととても素敵な時間を過ごさせていただきました」
「あら、それだけなの?」

 なんだかつまらなそうな王妃の言葉にはっとする。そうだ、夕べ着せてもらったドレスは、王妃ブランドのオートクチュールだ。

「あ、あのっ素敵なお召し物をご用意していただけて、わたくし……」

 慌てて取り(つくろ)うとするも、王妃の残念そうな視線はジークヴァルトに向けられていた。

「公爵からも感想があるべきではなくて?」

 閉じた扇を口元に当て、妖艶な笑みを向けてくる。同時にジークヴァルトの眉根がぎゅっと寄せられた。

「あのような格好は彼女にはまだ早いかと」
「とんだ狭量(きょうりょう)な言葉だこと」

 おかしくてたまらないといったふうに、王妃の口角が吊り上がる。反比例するようにジークヴァルトの眉間のしわが深まった。

 涙目になりながらリーゼロッテは唇をかみしめた。やはり口に出されると傷つくものだ。だが事実だけに、ひどいと腹を立てることもできはしない。

「この公爵を手玉に取るなど、ダーミッシュ伯爵令嬢もなかなかね」
「え……?」

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