宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
「あの、あなたは……?」
「これは失礼いたしました。わたしの名はアルベルト・ガウス。クリスティーナ様の従者兼、護衛騎士を務めさせていただいております」
「では王女殿下というのは、クリスティーナ様のことなのですね?」
「その通りでございます。突然のことで戸惑っておいででしょう。詳しくはクリスティーナ様からお話がありますので、ご案内させていただきます」
連れられるままリーゼロッテは部屋を出る。この東宮は屋敷というより塔のような外観だった。ひとつのフロアはそれほど広くないようで、アルベルトは中央にある螺旋状の階段に向かって進んでいく。
「王女殿下は最上階におられます。どうぞ足元にお気をつけてお昇りください」
見上げると、果てしなく続いていそうな階段だ。昇り始めてすぐに息が切れてくる。だが疲れたと拒否できる雰囲気でもなかった。王女の呼び出しとあれば、這ってでも行かなくてはならないだろう。
(なんだか王城で見た夢を思い出すわ)
守護者である聖女の力が異形たちを天へと還した日、夢の中でこんなふうに階段を何段も昇った。
(あの日は大きな荷物を持っていたから、今日はまだましかしら……?)
気を紛らわすようにそんなことを思う。笑う膝を誤魔化しながら、リーゼロッテはなんとか上まで昇りきったのだった。
「これは失礼いたしました。わたしの名はアルベルト・ガウス。クリスティーナ様の従者兼、護衛騎士を務めさせていただいております」
「では王女殿下というのは、クリスティーナ様のことなのですね?」
「その通りでございます。突然のことで戸惑っておいででしょう。詳しくはクリスティーナ様からお話がありますので、ご案内させていただきます」
連れられるままリーゼロッテは部屋を出る。この東宮は屋敷というより塔のような外観だった。ひとつのフロアはそれほど広くないようで、アルベルトは中央にある螺旋状の階段に向かって進んでいく。
「王女殿下は最上階におられます。どうぞ足元にお気をつけてお昇りください」
見上げると、果てしなく続いていそうな階段だ。昇り始めてすぐに息が切れてくる。だが疲れたと拒否できる雰囲気でもなかった。王女の呼び出しとあれば、這ってでも行かなくてはならないだろう。
(なんだか王城で見た夢を思い出すわ)
守護者である聖女の力が異形たちを天へと還した日、夢の中でこんなふうに階段を何段も昇った。
(あの日は大きな荷物を持っていたから、今日はまだましかしら……?)
気を紛らわすようにそんなことを思う。笑う膝を誤魔化しながら、リーゼロッテはなんとか上まで昇りきったのだった。