宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
今生(こんじょう)の別れというわけではないから心配は無用よ。ここはお義母様の離宮と違って、ちゃんとした手続きを取れば、男も足を踏み入れることはできるから。明日にでもあなたに会いに来ると思うわ」

 その言葉にほっと息をつく。そんな様子を王女はたのしそうに見やった。

「でも門番がすんなり通すかはわからないけれど」
「えっ!? 門番……ですか?」
「そうよ。ここには男には容赦しない恐ろしい門番がいるの」

 王女を守るためだろうか? リーゼロッテが青ざめると、クリスティーナはさらにたのしそうな顔になる。

「その門番にお願いはできないのですか?」
「無理ね。話が通じるような相手ではないから」
「ええっ!?」

 王女の命令を無視するなど、一体どんな門番だというのか。リーゼロッテは一瞬で涙目になった。

「確かに恐ろしい存在ですが、公爵様なら問題はないでしょう。()()は一度認めた人間には絶対服従しますから」

 アルベルトの苦笑交じりの言葉に、安心していいのかが分からない。だがリーゼロッテは潤んだ瞳のまま、小さく頷き返した。

「それにしてもあの公爵を手玉に取るなんて……。貴族街でも驚いたけれど、今のあなたを見ているとよく分かる気がするわ」
「手玉だなんてそんな……」

 夕べの夜会で王妃にも同じことを言われた。だがジークヴァルトへの思いに翻弄(ほんろう)されているのは、むしろ自分の方だ。

「そう、自覚はないのね。明日、彼が来るのがたのしみだわ」
「クリスティーナ様」

 アルベルトが再び(とが)めるように言う。王女は悪びれもせず、ころころと耳に心地よい声で笑った。

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