宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
 どうやら自分は歓迎されていないようだ。不本意なことを隠そうともしない態度を前に、リーゼロッテはおずおずと口を開いた。

「あの……大抵のことはひとりでできますので、その、どうしてもな時だけお願いしてもよろしいでしょうか」
「あらそう。そうしていただけると助かりますわ」

 ちっとも感謝していない口ぶりで、ヘッダはワゴンに乗せた朝食を部屋の中心まで押していく。

「食べ終わったら廊下に出しておいてください」

 それだけ言って挨拶もなしにヘッダは部屋を後にした。普段ならば使用人が給仕してくれる料理は、ワゴンに乗せられたままだ。
 急におなかが()いてきて、リーゼロッテの腹の虫がきゅるると鳴った。夕べは疲れて食事もとらずに眠ってしまったことを思い出す。

(ふつうの令嬢なら、泣くか怒るかしているところかしら……でも、腹が減っては(いくさ)もできないわね)

 手際(てぎわ)よく料理をテーブルに乗せる。質素だが野菜中心の朝食は、リーゼロッテにしてもありがたいメニューだ。

「いただきます」

 両手を合わせてからカトラリーを手にする。普段はしないことだが、なんとなくそうしてしまった。

(完全に誰もいない部屋で食事なんて、ほんと久しぶりね)

 この世界に生まれて初めてのことかもしれない。そんなことを思いつつ、リーゼロッテは人目を気にせずマナーもへったくれもなしに、好きな順番で料理を頂いた。

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