宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
◇
「リーゼロッテ」
「ジークヴァルト様!」
一階にある面会用の応接室で待っていると、すぐにジークヴァルトがやってきた。その顔を見て安堵のあまり涙が浮かんでくる。駆け寄って思わずその胸に飛び込んだ。
背中のシャツをぎゅっと掴むと、応えるように強く抱きしめ返してくる。
「不自由はないか?」
「……はい、とてもよくして頂いておりますわ」
連れてこられたこと以外は特に不満もないので、そうとだけ答えた。あたたかい場所で眠れ、美味しいご飯も出してくれる。世話をする侍女がいなくても、それだけあれば十分すぎるというものだ。
ジークヴァルトがやさしく顔を撫でてくる。その大きな手のひらに、リーゼロッテは甘えるように頬ずりをした。
「では、一時間後にまた参ります」
アルベルトの声にびくりと体が跳ねる。ここはフーゲンベルクの屋敷ではない。人様の家で一体何をやっているのかと、リーゼロッテは慌てて離れようとした。しかし逆に引き寄せられ、もっときつく抱きしめられてしまう。
「どうぞごゆっくり」
笑いを含んだような言葉に頬が熱くなる。扉を開けたままにして、アルベルトは部屋から出ていった。婚約者とは言え自分たちは未婚の男女だ。貴族の外聞を考えてのことだろう。
そうはいっても元々人の少ない東宮だ。ここに住んでいるのは王女とヘッダとアルベルトの三人だけで、ほかに通いの使用人が数人いるだけらしい。ふたり以外誰もいない部屋に残されて、耳に痛いくらいの沈黙が降りた。
無言のまま手を引かれ、リーゼロッテはソファへと座らされる。ジークヴァルト自身もその横へと腰かけた。
「リーゼロッテ」
「ジークヴァルト様!」
一階にある面会用の応接室で待っていると、すぐにジークヴァルトがやってきた。その顔を見て安堵のあまり涙が浮かんでくる。駆け寄って思わずその胸に飛び込んだ。
背中のシャツをぎゅっと掴むと、応えるように強く抱きしめ返してくる。
「不自由はないか?」
「……はい、とてもよくして頂いておりますわ」
連れてこられたこと以外は特に不満もないので、そうとだけ答えた。あたたかい場所で眠れ、美味しいご飯も出してくれる。世話をする侍女がいなくても、それだけあれば十分すぎるというものだ。
ジークヴァルトがやさしく顔を撫でてくる。その大きな手のひらに、リーゼロッテは甘えるように頬ずりをした。
「では、一時間後にまた参ります」
アルベルトの声にびくりと体が跳ねる。ここはフーゲンベルクの屋敷ではない。人様の家で一体何をやっているのかと、リーゼロッテは慌てて離れようとした。しかし逆に引き寄せられ、もっときつく抱きしめられてしまう。
「どうぞごゆっくり」
笑いを含んだような言葉に頬が熱くなる。扉を開けたままにして、アルベルトは部屋から出ていった。婚約者とは言え自分たちは未婚の男女だ。貴族の外聞を考えてのことだろう。
そうはいっても元々人の少ない東宮だ。ここに住んでいるのは王女とヘッダとアルベルトの三人だけで、ほかに通いの使用人が数人いるだけらしい。ふたり以外誰もいない部屋に残されて、耳に痛いくらいの沈黙が降りた。
無言のまま手を引かれ、リーゼロッテはソファへと座らされる。ジークヴァルト自身もその横へと腰かけた。