宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
あーんと菓子を差し出され、リーゼロッテは条件反射のように口にした。もくもくと口を動かしながら、ジークヴァルトのためのクラッカーを探す。
だが用意されていたのは甘そうな焼き菓子ばかりだ。甘味が苦手なジークヴァルトに食べさせるのはためらわれて、リーゼロッテは伸ばしかけていた手を所在なげにひっこめた。
「オレの分は戻ってからでいい」
こなせなかったあーんのノルマは、翌日以降に繰り越されるシステムだ。何日分たまったかをジークヴァルトはいつも正確に数えているようだった。
「昨日の分だ」
そう言って再び菓子が差し出される。小さく開くと、菓子はやさしく口の中に押し込まれた。
「うまいか?」
「はい、とても美味しいですわ」
そのやりとりはいつもと変わりがなくて、ここが東宮だということを忘れてしまいそうだ。やはり自分が帰る場所はジークヴァルトの元なのだ。そう思うと切なく胸が締め付けられた。
「会いに来てくださって本当にうれしいです」
「ああ」
「ここまでどうやって来られたのですか?」
「馬を走らせた。馬車よりも早く着く」
「そうなのですね」
そこまで言ってリーゼロッテははっとした。
「ヴァルト様……門番は大丈夫でございましたか?」
「門番?」
「王女殿下がここには恐ろしい門番がいると」
「いや、そんな者はいなかったが」
「え? そうなのですか?」
だが用意されていたのは甘そうな焼き菓子ばかりだ。甘味が苦手なジークヴァルトに食べさせるのはためらわれて、リーゼロッテは伸ばしかけていた手を所在なげにひっこめた。
「オレの分は戻ってからでいい」
こなせなかったあーんのノルマは、翌日以降に繰り越されるシステムだ。何日分たまったかをジークヴァルトはいつも正確に数えているようだった。
「昨日の分だ」
そう言って再び菓子が差し出される。小さく開くと、菓子はやさしく口の中に押し込まれた。
「うまいか?」
「はい、とても美味しいですわ」
そのやりとりはいつもと変わりがなくて、ここが東宮だということを忘れてしまいそうだ。やはり自分が帰る場所はジークヴァルトの元なのだ。そう思うと切なく胸が締め付けられた。
「会いに来てくださって本当にうれしいです」
「ああ」
「ここまでどうやって来られたのですか?」
「馬を走らせた。馬車よりも早く着く」
「そうなのですね」
そこまで言ってリーゼロッテははっとした。
「ヴァルト様……門番は大丈夫でございましたか?」
「門番?」
「王女殿下がここには恐ろしい門番がいると」
「いや、そんな者はいなかったが」
「え? そうなのですか?」