宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
切なくて、リーゼロッテは瞳を潤ませた。キスしてほしい。そんなふうに思うが、恥ずかしくて自分からは言い出せない。
その時に気がついた。いつもなら、隙あらば膝の上に乗せようとしてくるジークヴァルトが、適切な距離を保ったままでいる。それどころか髪にすら触れてきていなかった。
(そうか……ここは王女殿下の東宮だから……)
だがこの部屋には自分たちしかいない。公爵家ではいつでも使用人がのぞき見するように控えているが、今この場は本当にふたりきりだ。
(今だったらもっと触ってくれてもいいのに)
恥ずかしいから嫌だと言っても、いつもはぐいぐい来るくせに。そんなふうに思って、リーゼロッテはちょっと不満げに唇を尖らせた。
「どうした?」
「あ、いえ、何も」
触れてくれないから拗ねているのだとは言えず、リーゼロッテは慌てて首を振った。
(でもキス、したいな……)
自分から突然口づけたら、ジークヴァルトは驚くだろうか。女性は慎ましやかでいることを求められる貴族社会だ。そんなことをしては、はしたないと咎められてしまうかもしれない。
思えばキス以上のことは、されたことがないなとふと思う。唐突にされるのもあって、リーゼロッテはいつもそれだけで目を回してしまう。しかしジークヴァルトが溢れ出る力を導いてくれるおかげで、最近では気を失うようなこともなくなった。
(でも、呆れられていたらどうしよう……)
いちいち面倒くさいと思われても仕方がなかった。ジークヴァルトに嫌われたら、どうしていいかわからない。
「ジークヴァルト様……わたくし、ちゃんと力を扱えるよう頑張りますわ」
「お前はそのままでいいと言っただろう」
「ですが……」
その時に気がついた。いつもなら、隙あらば膝の上に乗せようとしてくるジークヴァルトが、適切な距離を保ったままでいる。それどころか髪にすら触れてきていなかった。
(そうか……ここは王女殿下の東宮だから……)
だがこの部屋には自分たちしかいない。公爵家ではいつでも使用人がのぞき見するように控えているが、今この場は本当にふたりきりだ。
(今だったらもっと触ってくれてもいいのに)
恥ずかしいから嫌だと言っても、いつもはぐいぐい来るくせに。そんなふうに思って、リーゼロッテはちょっと不満げに唇を尖らせた。
「どうした?」
「あ、いえ、何も」
触れてくれないから拗ねているのだとは言えず、リーゼロッテは慌てて首を振った。
(でもキス、したいな……)
自分から突然口づけたら、ジークヴァルトは驚くだろうか。女性は慎ましやかでいることを求められる貴族社会だ。そんなことをしては、はしたないと咎められてしまうかもしれない。
思えばキス以上のことは、されたことがないなとふと思う。唐突にされるのもあって、リーゼロッテはいつもそれだけで目を回してしまう。しかしジークヴァルトが溢れ出る力を導いてくれるおかげで、最近では気を失うようなこともなくなった。
(でも、呆れられていたらどうしよう……)
いちいち面倒くさいと思われても仕方がなかった。ジークヴァルトに嫌われたら、どうしていいかわからない。
「ジークヴァルト様……わたくし、ちゃんと力を扱えるよう頑張りますわ」
「お前はそのままでいいと言っただろう」
「ですが……」