宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
「ときにエデラー男爵様。ルカ様とツェツィーリア様の婚約にあたって、ダーミッシュ伯爵様がレルナー領と鉄鉱石の取引を開始されたという話を小耳に挟んだのですが……」
「さすがフーゲンベルク家の次期家令だ、耳が早い」
鉄鉱石はフーゲンベルク領でも良質なものが採掘されている。そこを敢えてレルナー公爵に話を持ち掛けたところが、やり手のダーミッシュ伯爵らしい。娘の嫁ぎ先ではなくレルナー家へ利益をちらつかせ、伯爵家の立場でありながら実力で婚約をもぎ取ったのだ。素直に称賛を送りたいとマテアスは思っていた。
同じ公爵家としてフーゲンベルク家にライバル意識をもつレルナー家にしてみれば、さぞや胸のすく思いができたことだろう。
もっともフーゲンベルクの鉄鉱石は、主に自領で馬具や家具に消費されている。もしダーミッシュ伯爵に融通をきかせてほしいと話を持ち掛けられても、頷くことはできないのが現状だ。
「フーゴ様もそちらの事情は把握しておられる。それでレルナー家へ話を持っていかれたのだろう」
「ええ、承知しております。機会があれば我が領でも、ダーミッシュ伯爵様と何か事業を興せればよいのですが」
「ああ、フーゴ様にもそう伝えよう。ついでに言わせてもらうと、エデラー家も大歓迎だ」
「それはうれしいお言葉。主にもそのように申し伝えさせていただきます」
エデラー男爵は人懐っこい印象の男だ。いまだ商人気質が抜けないのだろうというのが、マテアスの第一印象だった。その男爵が少しばかり声を落として顔を寄せてくる。
「それでうちの娘がカーク家の跡取りをフッたというのは本当か?」
「そのようですね。直接エラ様からお聞きしたわけではございませんが」
さすがにエーミールとのいざこざまでは知らない様子だが、エデラー男爵がどこから情報を得ているのか少しばかり調査が必要そうだ。
「さすがフーゲンベルク家の次期家令だ、耳が早い」
鉄鉱石はフーゲンベルク領でも良質なものが採掘されている。そこを敢えてレルナー公爵に話を持ち掛けたところが、やり手のダーミッシュ伯爵らしい。娘の嫁ぎ先ではなくレルナー家へ利益をちらつかせ、伯爵家の立場でありながら実力で婚約をもぎ取ったのだ。素直に称賛を送りたいとマテアスは思っていた。
同じ公爵家としてフーゲンベルク家にライバル意識をもつレルナー家にしてみれば、さぞや胸のすく思いができたことだろう。
もっともフーゲンベルクの鉄鉱石は、主に自領で馬具や家具に消費されている。もしダーミッシュ伯爵に融通をきかせてほしいと話を持ち掛けられても、頷くことはできないのが現状だ。
「フーゴ様もそちらの事情は把握しておられる。それでレルナー家へ話を持っていかれたのだろう」
「ええ、承知しております。機会があれば我が領でも、ダーミッシュ伯爵様と何か事業を興せればよいのですが」
「ああ、フーゴ様にもそう伝えよう。ついでに言わせてもらうと、エデラー家も大歓迎だ」
「それはうれしいお言葉。主にもそのように申し伝えさせていただきます」
エデラー男爵は人懐っこい印象の男だ。いまだ商人気質が抜けないのだろうというのが、マテアスの第一印象だった。その男爵が少しばかり声を落として顔を寄せてくる。
「それでうちの娘がカーク家の跡取りをフッたというのは本当か?」
「そのようですね。直接エラ様からお聞きしたわけではございませんが」
さすがにエーミールとのいざこざまでは知らない様子だが、エデラー男爵がどこから情報を得ているのか少しばかり調査が必要そうだ。