可愛い後輩くんは、スポーツ系御曹司でした ~秘密のギャップで溺愛されています~
 お昼になると、私はバッグからお弁当を取り出した。
 迷ったが、お弁当を作ると約束している。

(変に意識しないで、いつもどおりに!)

 私はできるだけさりげなく、蓮見(はすみ)くんに声をかけた。

「蓮見くん、はいお弁当」
「ありがとうございます!」

 蓮見くんはちらっと外を見た。

「いい天気ですね。今日は公園で食べませんか?」
「えっ? 別にいいけど……」
「バッグ持ちます」

 お弁当を入れたバッグを手に、蓮見くんが立ち上がる。
 こうして並ぶと、やはり背が高い。
 ついつい見上げることになってしまう。

「行きましょう」

 蓮見くんがきびきび歩き出す。
 女子社員の視線を浴びながら、私はフロアを出た。

 近くの公園のベンチに座ると、お弁当を開ける。

「わ! 今日は和風なんですね。いなり寿司だ!」

 蓮見くんが嬉しそうに顔をほころばせる。

「急に食べたくなって……」

 モヤモヤする時はつい手の込んだ料理を作りたくなる。
 料理を作っていると無心になれるからだ。

「天ぷらも美味しいです! え、これ朝から作ったんですか?」
「うん……」

 なぜか早く目が覚めてしまったのだ。

「ごちそうさまでした」

 あっという間に食べ終わると、蓮見くんがお茶を買ってきてくれる。

「ありがとう」
「いえ。今度晩ご飯(おご)らせてくださいね。お弁当のお礼に」
「えっ、いいよ……」

 私は慌てて断った。
 いくら部下とはいえ、男女二人きりで夜ご飯なんて、周囲になんて言われるかわからない。
 もちろん、蓮見くんに下心なんかないのはわかっている。

(これだけかっこよくてモテるんだもの。恋人いるわよね……)

 きっと可愛くて美人な子に違いない。
 そんなことを思っていると、視線を感じた。
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