Same cross
自分の番が来ると、手に出てきた汗を感じながら、俺はパーテーションを通り抜けた。
(え?男?)
最初に頭の中に浮かんだ文字はこれだった。
黒髪ロングで赤リップをつけた女の人を勝手にイメージしていたけど、実物の美月さんは背が高くてすらっとしていて一瞬モデルかと勘違いするような男性だった。
想像とあまりにも違うギャップに戸惑いながらも、短い時間で精一杯用意した思いを伝えることにした。
「れ、美月さん。あ、あの、俺、すごく美月さんのブランドが大好きでブランドに対する思いとか、全部尊敬してます!」
俺の口から出た言葉は聞くに堪え難いぐらいぐちゃぐちゃで、今もし目の前に五秒前に戻れるボタンがあったら真っ先に押させてもらいたいと思った。
そんな拙い俺の気持ちを、美月さんは誕生日プレゼントを受け取った子供のように嬉しそうに聞いてくれた。
「それ、ミシェルのニットだよね。すごく似合ってるよ。まるで君の為に作られたみたい。」
美月さんは満遍の笑顔を浮かべて言った。
この時俺は頭がパンクしそうだった。
ただでさえ尊敬している美月さんと会話できているのに、似合ってると言ってくれて、しかもこの服を作った本人から。
そのあとはもう何を話したか覚えていない。
気づいたら美月さんのサインをもらって、お店を出て、帰りの電車に乗っていた。
三十分ぐらい電車に揺られると、ようやく落ち着いてきた。
ショッパー袋に描かれた美月さんのサインを見て、今まで感じたことのない喜びを感じながら俺は思った、
(朝から杉本に会って嫌だったけど、それもこれも全部このための試練だったんだな)
この喜びをお気に入りの音楽と一緒に祝おうじゃないかとイヤホンを取り出して、大好きな曲の再生ボタンを押した。俺が可愛い服をよく着ているから、好きな曲のジャンルも可愛い系の曲なんだと思われるが、俺は大のロック好きだ。
俺の両親は
「ロックが好きならそんな女々しい格好じゃなくて、もっと男らしい格好をしたらどうなんだ」
なんてことを言っているけど、人の好みとかイメージを勝手に決めないでほしい。
(あれ、でも、俺、美月さんが男だって知った時少し困惑したよな、、、)
これって勝手に人のイメージを決めつけて実際違かった時に困惑してって、俺の両親がやってることとあんま変わんないんじゃないのか?
もしかしたら自分がされて嫌なことを、知らないうちに人にしているかもしれないと気づいた俺は少し怖くなった。
電車の揺れか、はたまた俺の中で渦巻いているモヤモヤからなのか、何か気分の良くない感覚と共に俺は音楽の再生停止ボタンを押した。
(え?男?)
最初に頭の中に浮かんだ文字はこれだった。
黒髪ロングで赤リップをつけた女の人を勝手にイメージしていたけど、実物の美月さんは背が高くてすらっとしていて一瞬モデルかと勘違いするような男性だった。
想像とあまりにも違うギャップに戸惑いながらも、短い時間で精一杯用意した思いを伝えることにした。
「れ、美月さん。あ、あの、俺、すごく美月さんのブランドが大好きでブランドに対する思いとか、全部尊敬してます!」
俺の口から出た言葉は聞くに堪え難いぐらいぐちゃぐちゃで、今もし目の前に五秒前に戻れるボタンがあったら真っ先に押させてもらいたいと思った。
そんな拙い俺の気持ちを、美月さんは誕生日プレゼントを受け取った子供のように嬉しそうに聞いてくれた。
「それ、ミシェルのニットだよね。すごく似合ってるよ。まるで君の為に作られたみたい。」
美月さんは満遍の笑顔を浮かべて言った。
この時俺は頭がパンクしそうだった。
ただでさえ尊敬している美月さんと会話できているのに、似合ってると言ってくれて、しかもこの服を作った本人から。
そのあとはもう何を話したか覚えていない。
気づいたら美月さんのサインをもらって、お店を出て、帰りの電車に乗っていた。
三十分ぐらい電車に揺られると、ようやく落ち着いてきた。
ショッパー袋に描かれた美月さんのサインを見て、今まで感じたことのない喜びを感じながら俺は思った、
(朝から杉本に会って嫌だったけど、それもこれも全部このための試練だったんだな)
この喜びをお気に入りの音楽と一緒に祝おうじゃないかとイヤホンを取り出して、大好きな曲の再生ボタンを押した。俺が可愛い服をよく着ているから、好きな曲のジャンルも可愛い系の曲なんだと思われるが、俺は大のロック好きだ。
俺の両親は
「ロックが好きならそんな女々しい格好じゃなくて、もっと男らしい格好をしたらどうなんだ」
なんてことを言っているけど、人の好みとかイメージを勝手に決めないでほしい。
(あれ、でも、俺、美月さんが男だって知った時少し困惑したよな、、、)
これって勝手に人のイメージを決めつけて実際違かった時に困惑してって、俺の両親がやってることとあんま変わんないんじゃないのか?
もしかしたら自分がされて嫌なことを、知らないうちに人にしているかもしれないと気づいた俺は少し怖くなった。
電車の揺れか、はたまた俺の中で渦巻いているモヤモヤからなのか、何か気分の良くない感覚と共に俺は音楽の再生停止ボタンを押した。