継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします
 丁寧に切られた上辺から、ヴィンセント様は便箋を取り出す。そうして、そこに書かれた一言を読み上げた。

「子ども達が成人するまでのことは、ケリーアデルに任せる」

 ヴィンセント様の静かな声を聞いたケリーアデルは、口角をあげて「そうよ!」と叫んだ。ほら見なさい。私が正しいのよといいたそうね。いいえ、きっとそういうわ。
 だって、これがあなたの切り札でしょうから。

「そこに書かれていることが真実よ! 私はあの人に、子どもたちを任されたのよ。だから、私の承認のない結婚なんて無効よ!」

 形勢逆転だと言わんばかりに、ケリーアデルの高笑いが響く。
 だけど、彼女以外は誰一人として笑っていない。

 無能の呪いに囚われていた私だったら、この偽りだらけの手紙に縛られていただろう。
 でも、今はこれが真実だなんて欠片も信じられない。
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