継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします
警戒したヴィンセント様が、咄嗟に私の前へと一歩踏み出す。
だけど、ケリーアデルはこちらを見ていない。そのまま体を揺らして歩を進めたかと思えば、突然、崩れようにペンロド公爵様の足に縋りついた。
その時だ。ケリーアデルの全身から、ゆらりと黒い陽炎が立ち上がった。
アレは何?
黒い陽炎は禍々しく地を這い、ペンロド公爵様の足へと絡みついていく。
「公爵様! 信じてください。私は娘を折檻などしておりません。印章の偽造など、身に覚えのないことばかりでございます!」
「だ、だが、鏡に映っておった。そ、それに印章が偽装となれば……そなたが、義理の娘たちの母として屋敷にとどまることは認められぬ」
「あれは、本当に夫が書いたものです!」
「しかしだな……亡きレドモンド卿との婚姻の事実がないのであれば、これは、大問題であるぞ」
気弱そうにおろおろとするペンロド公爵様は、夫人を振り返って助けを求めるようなそぶりを見せた。
だけど、ケリーアデルはこちらを見ていない。そのまま体を揺らして歩を進めたかと思えば、突然、崩れようにペンロド公爵様の足に縋りついた。
その時だ。ケリーアデルの全身から、ゆらりと黒い陽炎が立ち上がった。
アレは何?
黒い陽炎は禍々しく地を這い、ペンロド公爵様の足へと絡みついていく。
「公爵様! 信じてください。私は娘を折檻などしておりません。印章の偽造など、身に覚えのないことばかりでございます!」
「だ、だが、鏡に映っておった。そ、それに印章が偽装となれば……そなたが、義理の娘たちの母として屋敷にとどまることは認められぬ」
「あれは、本当に夫が書いたものです!」
「しかしだな……亡きレドモンド卿との婚姻の事実がないのであれば、これは、大問題であるぞ」
気弱そうにおろおろとするペンロド公爵様は、夫人を振り返って助けを求めるようなそぶりを見せた。