継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします
「目を覚まして良かった」
「あ、あの、お見苦しい姿をお見せしてしまい……」
「何を言っているんだ。結婚したのだから、これからは毎晩見せあうだろう」
「え……えっ、あ、あの!」

 ヴィンセント様らしからぬ発言にドキリとしていると、大きな手が私の腰に回された。次の瞬間、突然の浮遊感と共に、私の足は床を離れた。

「もう少し、横になった方が良い」
「あ、あの、ヴィンセント様」
「ヴィンス……そう呼んで欲しいと言ったことを、もう忘れてしまったのかい?」

 綺麗な微笑みを浮かべるお顔を前にして、私はどうしたら良いか分からず、ダリアとセドリックに視線を向けた。だけど、それを遮るようにしてヴィンセント様は歩き出してしまった。

「愛されているようで、ようございました」
「ええ、本当に」

 淡々と言うダリアの横で、明らかに笑いを堪えているセドリックの声がした。
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