継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします
「何を言い出すんだ。私は君と結婚した。つまりロックハート家はレドモンド家と繋がったんだ。簡単に衰退されたら困る。何より、苦心してあの家を守ってきたのは君だろう」
「で、でも……私は妻としてリリアードの」
「ヴェルヘルミーナとなら、一緒に苦労するのも悪くない」

 ヴィンセント様は、琥珀色の瞳に優しい光を浮かべ、再び私の髪を撫でた。

 嫁いだら私の人生は終わるような気持ちになっていた。セドリックのためにレドモンド家を守る以外、私には何もなかったから。

 でも、まだ私にも、セドリックやレドモンドのためにやれることがあるというの?

「それにだ。今まで通りレドモンド家を守ることが、延いてはロックハート……いや、国のためになるだろう」
「それは、どういう意味ですか?」
「まだ、花は枯れていない」
「……え?」

 静かに呟いたヴィンセント様は、ちらりとセドリックを見た。

 花って、もしかしてアーリック族で聞いた闇の花のことかしら。それが枯れていないということは、幻惑の魔女はまだ……
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