継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします
 もしかしてヴィンセント様は、幻惑の魔女がレドモンド領に身を潜めていると考えてるのかしら。

「セドリック。悪いが少し席を外してもらえないか」
「分かりました。姉様、お祖母様も心配していました。お話が終わりましたら、顔を見せてあげてください」
「うん。後で行くわ。お祖母様に、そう伝えておいてくれるかしら」

 頷いたセドリックがダリアと共に部屋を出ていくと、ヴィンセント様は自らの手でお茶をカップに注いだ。

「ヴェルヘルミーナ……残念な知らせだ。ケリーアデルは幻惑の魔女ではなかった」

 唐突な言葉に驚き、動きを止めた。
 それは想定内よ。驚くことではないわ──心を落ち着けるようにゆっくりと息を吐き、胸の前で手を握りしめた。

「それは、本人が否定しているということですか?」
「いや……ケリーアデルは、死んだ」
「……死んだ?」
「あぁ。衛兵の剣を奪って自害したそうだ。罪から逃れられないと思い、潔く死を選んだのだろう」

 ケリーアデルが死んだ……?
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