継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします
 にわかには信じられない言葉に、私の思考は真っ白になった。

 彼女は、ペンロド公爵様に助けを乞うていたわ。夫人にも、必死に訴えていた。みっともない姿を晒した人が、そんな簡単に死ぬだなんて信じられない。

 そもそも、幻惑の魔女なら能力を使って彼女を逃がすことだって簡単だろう。それにケリーアデルを操っていたなら、死に追いやることだって……

 白磁のカップを握りしめ、その中で揺れる琥珀色のハーブティーをじっと見つめた。


 ヴィンセント様は私を気遣い「ヴェルヘルミーナ」と優しく呼んでくれる。
 そっと顔を上げると、真摯な眼差しと視線が交わった。
 
「すぐに、ウーラのもとへ飛んで話を聞いてきたが、闇の花は枯れていないと言っていた」

 それは、幻惑の能力を持つ者が生きているということだろう。
 カップの中でハーブティーさざ波を立てる。
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