継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします
「あぁ。第五魔術師団は魔獣討伐の他にも、能力を得たものの保護をしている」

 大きな手が優しく頬を撫で、髪を梳く。慈しむような指先から優しさが伝わる。

 だけど胸がざわついて、ヴィンセント様の名を呼ぼうとしても上手く声が出せなかった。

 今は幻惑の魔女のことを考えないといけないのに。
 どうしても、保護という言葉が胸に引っ掛かった。

「能力は人に現れるとも限らないから、見つけ出すのも一苦労なんだが……幻惑の能力は厄介だから、なんとしてでも見つけ出さなければならない」

 穏やかな声で第五魔術師団の役目について話してくれるヴィンセント様だけど、私の耳にはその半分も届いていなかった。

「……あの、でしたら……私が……」

 ヴィンセント様の妻になったのも、もしかして保護するため、だったのでしょうか?──尋ねることが出来ず、喉が引きつった。
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