継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします
 ダンスって、一人でするものじゃないわよね。私はヴィンセント様と踊るのよね……え、この身長差をどうしたら良いの。私じゃ、釣り合わないんじゃないかしら。

「む……無理です!」

 そう宣言し、縋るようにヴィンセント様を見上げると、穏やかに微笑む顔があった。

「それと、ヴェルヘルミーナ」
「……ま、まだ何かあるのですか?」
「あぁ。君には魔術師の登用試験を受けてもらおうと思っている」
「……は、はい?」
「第五魔術師団で、働いてもらおうと思っているんだ」
「あ、あの……仰られる意味が、分かりません」

 貴族に嫁いだら屋敷の女主となり、屋敷を守って領土を守る。それが一般的だと言うのに、魔術師団で働くって、どういうことかしら。

「女主として、リリアードを守るのは勿論だけど、君の記憶を映す力を貸して欲しいんだ」
「私の、力って……」
「詳しい話は、また後でするが、登用試験は三ヵ月後だ」

 待って。
 私に能力が授かったのは周知の事実となったけど、私、未だに魔法なんて一つも使えないのよ。そんなの、不合格になる未来しか見えないじゃない。
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