継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします
「それを無事に終わらせたら、お披露目の夜会で、ヴェルヘルミーナを素晴らしい魔女としても紹介できますね」
「第五師団にお勤めだなんて! 凄いです、姉様!」
「ま、待って下さい……そんな、私は……ヴィンセント様に恥をかかせることに……」

 勢いよく頭を振って無理だと主張するも、ヴィンセント様は「君なら出来るよ」と根拠のない自信で後押しをされた。
 大きな両手で震える指先を握りしめられて見つめられたら、出来ませんなんて言葉は引っ込んでしまう。

 あぁ、私は魔法が使えませってはっきり言えたらよかったのかしら。

 もしも離縁されたら私はレドモンドに戻れるのよ。継母のいないあの家に戻って仕事をこなせば良いだけじゃない。
 社交界やお茶会に出なくてもいい日々。商談に追われ、領地の視察に忙しくする日々へと戻るだけよ。

 ダンスやマナーなんて必要のない慣れた日々の方が楽に決まっているのに。

「ミーナ姉様、頑張って!」

 大好きなセドリックに背中を押されたら、頑張るしかないじゃない。
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